はじめまして。
写真と旅をこよなく愛するフォトラベラー Yori です。
カメラを持った時に大切にしている事は、
「頭でなく、心で撮ろう」。
星くずがこぼれてきそうな満天の夜空、光の反射でビーチに出来た銀河を渡るペンギンたち、小さな草花に潜むアート、夜に現れた虹。
そんな非日常の世界を切り取るネイチャーフォトを得意としています。
私は好奇心が旺盛で、今まで仕事も趣味も様々な分野の事に携わってきました。
それでも飽きる事なく、ずっと私を虜にし続けるのが「写真」と「旅」。
何故かって? それはどちらも
- 非日常に触れる
- 未知の自分に出会う
- 心がリセットされワクワクする
ことが出来るからです。
旅とは、「いつも」の環境から離れて、他の土地を訪れること。
独特の文化や風習に感銘や刺激を受け、地のものを味わい、見たことのない景色の中に身を置き、風や匂いを感じること。
そんな非日常に触れると、五感が満たされ、心が優しく緩み、
「自分は仕事柄、最新テクノロジーばかり関心があるのに、旅に出るとなぜか歴史を感じる古い建物や町並みに惹かれる。こういう古い文化を残していきたい。」
「旅行でこの青く澄み切った美しい海を訪れたら、実は危機に晒されていることを知った。何としても守りたい。ボランティア活動を探してみよう」
など、知らなかった自分の価値観に気付くことがあります。
それは非日常が「いつもの自分」ではなく「本来の自分」を呼び覚ましてくれるからでしょう。
旅に出ると、日頃の窮屈さや力みが失せ、心がリセットされ、ワクワクする気持ちが湧いてきます。
そして、エネルギーが充電され、明日に繋がる元気と勇気が出てくるのです。
写真の魅力は、カメラを持っただけでも、いつもとは違うアンテナが生えてきて、不思議と見えてくる物や景色が変わってくること。
ファインダーを覗くと、それらは非日常の世界に変わり、彩り、そしてシャッターを切った瞬間、その未知の世界と繋がれます。
一瞬しか味わえないこの特別なマジックは、いつも私の心をリセットして、ワクワク気分にしてくれるのです。
写真の楽しさは他にもあります。
撮った写真を並べてみると、自分の好む傾向が見えてきます。
「私って草花に潜むアートな模様が好きなんだ。」
「私って人々の何気ない暮らしを切り取るのが好きなんだ。」
と、意識したことのない感性に気付けたりします。
まるで、自分探しの旅をしているよう。
もう一つ、写真が私を虜にする理由は、時間を止めたり伸ばすことができるから。
例えば、上の写真のように肉眼では追えない鳥の羽ばたき。
時間を止める、すなわち早いシャッタースピードで撮れば、鳥たちがどのように飛んでいるのかをはっきりと見る事ができます。
今度は時間を伸ばしてみます。
遅いシャッタースピードで撮ると、波はふわふわっとした雲のような姿に変身します。
もっと時間を伸ばして夜のフェリーを撮れば、美しい光の道を水面に作り出してくれます。
ね、楽しいでしょう!!
実際には、写真はカメラを持ってシャッターを切るだけの事なのに、そこには生き方や考え方をも変えてくれるほど、力強く魅力的な楽しさがいっぱい溢れているのです。
そんな「写真を撮ること」でしか得られないワクワクを、一人でも多くの方へ伝えていきたいと思っています。
心が閉じ、抜け殻になった。
現在私は「写真と旅」という生きる張り合いを見つけ、その魅力を伝えることをしています。
でも、以前は今の私とはかけ離れた自分がいました。
ここに来るまでの人生は息切れがするほど振り幅が大きく、平坦には程遠い日々でした。
光の気配を探すも、迷うばかりで、暗闇で右往左往。
長い間大きな暗闇から出られませんでした。
その一つ、それは苦しくて悲しい離婚を2度経験したことです。
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20代は、意識が外に向いていて、何の不安も無い毎日でした。
1年を通して週末はサーフィン。
その延長でワーキングホリデービザを使いサーフィン天国オーストラリアに1年滞在。
オーストラリア国内一周の旅をし、それがきっかけでバックパッカーになり、地球のあちらこちらを旅するようになりました。
写真が楽しくなってきたのも、その頃から。
「写真を見ると一緒に旅行した気分になれるね」と楽しみにしてくれるようになった祖母がいました。
地球の多彩多様な表情を、祖母に、そして家族や友達に伝えたい。
その為にも仕事を全力でこなし、節約し、旅費を作っていました。
何をやっても楽しく、ダイビング、スキー、乗馬、生け花、着付けなどにも挑戦。
120%エネルギーでパワフルに生きていました。
そして、28歳で1度目の結婚をしました。
6年続きましたが、離婚という道を選ぶことになったのです。
初めて人生に大きな暗雲が立ち込めてきました。
離婚の理由は、夫と友人の浮気。
でもそれだけではなかった。
彼らは子供を作った。
しかも、2度も。
添い遂げるつもりで結婚しました。
でも無理。
仲が良く、信頼し合っていると信じていたのに。
一生分恨んで、怒って、泣いて、抜け殻になった。
赤ん坊を見ると、胃が締め付けられ、動悸がするようになった。
こういう事態の時って友達の事も見えてきます。
心から心配してくれる人、心配している風を装って、興味本位で接してくる人。
他人の苦しみは蜜の味とはよく言ったものです。
自分の人生をこれ以上泥沼にはしたくないと、離婚を決めました。
もう誰のことも信じまいと、私は完全に冷たく硬い心のドアを閉じました。
ガシャン…。
元気になったフリは上手に出来るようになりましたが、思考と態度はひねくれ、友達と遊んでも心の底から笑うことは何年もできず、ただただ仕事に没頭する日々。
しばらくは写真も撮れませんでした。
心が死んでいると、撮った写真もやはり死んでいるから。
心を軽くしたくて、自己啓発やスピリチュアル系の本を何冊も読み、「今、この瞬間の思考の積み重ねがこれからの自分を作っていく」ことを知りました。
ポジティブな思考を心掛ければ未来は良くなっていくのだと…。
だからといって、私の病んでねじれた思考は、そう簡単には変えられません。
心の鉄扉を開けることは全くできませんでした。
私の心を生き返らせてくれた一条の光。
そんなある日、テレビでオーロラの特集を見て「いつか必ず本物を見るんだ」と思い焦がれていた事を思い出しました。
長く忘れていたワクワク感が顔を出し、無性に行きたくなってきたのです。
10年来の夢を叶えるため、オーロラを見にアラスカへ。
心を躍らせて写真を撮るのは本当に久しぶりでした。
マイナス30度にもなる夜空の下、雑念が遠ざかっていくのを感じながら夢中で撮影を続け、気が付けば何時間も経っていました。
まつ毛まで真っ白に凍る寒さでしたが、心は暖かく、夢見心地。
あまりにも壮大で神秘的なオーロラと地球と宇宙の美しさに包まれ、私の心に一条の光が降りてきました。
「自分が囚われている苦しみなんてちっぽけなこと。心を閉ざしていたら、見えるものも見えてこない。こんな異次元に触れるような素晴らしい体験を、もっといろんな場所に行って経験したい。せっかく生きているのだから。」
写真は、刻一刻と姿を変えるオーロラと私の心を捉えていきました。
緑色にゆらめく光を撮影していると、ふと以前本で読んだ「今、この瞬間の思考の積み重ねがこれからの自分を作っていく」という言葉が浮かんできました。
現在の私を作ったのは過去の思考の積み重ね。
未来の私を作るのは、この瞬間の思考の積み重ね。
ならば、これからは「今、この瞬間」を大切に生きてみよう。
その練習に身の回りの小さなワクワクを探すようにしていたら、自然と心が柔らかくなり、美しいものに気付けるようになってきました。
そして、ファインダーを覗く事がまた少しずつ楽しくなってきたのです。
写真は「今、この瞬間」を切り取り、私に見せてくれました。
一度は心が死んで撮れなくなったけれど、
地球上の誰一人信じられなくなったけれど、
カメラはファインダーを通して、優しく美しい世界や人を、再び私と向き合わせてくれました。
そして、心の扉を大きく開くきっかけをくれたのです。
あの時、感動の涙をも凍らせながら夢中で撮ったオーロラの写真、私の大事な大事な宝物。
まだフィルムカメラが主流の時代でした。
現像が上がるまでちゃんと撮れているかわからず、ドキドキした事を覚えています。
写真の楽しさを揺るぎないものにしてくれた存在。
私の撮る写真がある時を境に劇的に変わってきました。
写真に自分の感動した想いを乗せることが出来たような感覚があり、すると、「君の写真を見るとワクワクしてくる」「その場所に行ってみたくなる」「写真に力がある」「癒される」と言ってもらえるようになってきたのです。
何よりも励みになるありがたい言葉の数々。
見てくれた方々に伝わっている!
変化のきっかけは、技術や知識ではなく、被写体と向き合うリアルな姿を間近で見せてくれる存在ができた事です。
その方は、日本を代表する自然写真家の高砂淳二さん。
世界で初めて月光で現れる虹「ナイトレインボー」を写真集にまとめられた方です。
ご本人には迷惑な事かもしれませんが、勝手に師匠と位置づけ心から尊敬しています。
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2000年の夏、野生のイルカと泳ぐドルフィンスイムに夢中な頃、本屋で平積みされていた写真集の表紙のイルカと目が合いました。
なんとも言えない柔らかい表情で、イルカが撮影者を完全に受け入れているようでした。
どんな方が撮影したんだろう。
それが高砂淳二さんでした。
長い年月を経て、友人を介し高砂さんにお目にかかることができました。
それ以来、最果ての地での撮影旅行に可能な限りご一緒させて頂いています。
プロの作品は写真展や写真集で見る事は出来ますが、実際にそれらがどのように撮られたのかはほとんど知る事はできません。
ですから、憧れの写真家が撮影している姿を間近で見るというのは最高に貴重な体験なのです。
撮影旅行中、高砂さんは惜しみなく全てを見せて下さいました。
動物たちへのアプローチの仕方、関わり方、被写体と気を合わせる事の大切さなどなど、プロ写真家の自然との向き合い方は全てにおいて新鮮でした。
そして何よりも先に、高砂さんは頭ではなく心で撮ることを教えてくれました。
「撮ろうとするものを、まず愛でる。楽しむ。カメラの設定はその後」。
被写体をリスペクトすることが何よりも大切だということも。
多くの写真家の方々がおっしゃるように、撮る人の想いは不思議と写真に宿ります。
「頭ではなく、心で撮る」。
地球との共存を大切にされている高砂さんならではの言葉で、私の中の何かが大きく変わり始めたのです。
その教えのお陰で、2019年開催のANAオフィシャルカレンダー「Welcome Aboard 2020」フォトコンテストに応募したところ、受賞が決定、カレンダーに採用して頂けるまでに。
私にとって師とリアルな時間を共有したことは、何よりも大きな上達につながりました。
本やネットの情報では体験することのできないそのリアルな体験こそが、私の意識を根底から変え、その結果、写真が息づいてきたし、今まで目を向けなかった物にも心が惹かれるようになりました。
そして、写真を上達させる為、自分の感性を育てる為に、このような「リアルな体験」が何よりも大切なのだという事を知ったのです。
楽しみながら続ける。それが一番の力。
先程もご紹介したように、ANAオフィシャルカレンダー「Welcome Aboard 2020」に私の作品を採用して頂けることになりました。
このオペラハウスの写真が受賞作品です。
航空会社のカレンダーと言えば、カメラメーカーの物と並び写真の美しさで定評と人気があります。
それに採用して頂けるなんて!
この受賞は、継続が一番の力なのだという事を明確にしてくれるものでした。
作品は、カラフルな光をまとったオペラハウスと夜景の美しさにひたすら感動し、もっと素敵に、もっと素敵にと寒空のなか2時間も夢中になって撮った写真です。
今回、コンテストの選考アドバイザーを務められた写真家の吉村和敏氏は、総評の中で「心の底から旅を楽しみ、感じていると、生み出される作品に旅人の想いが反映されてくるものです。」とおっしゃっています。
高砂淳二さんに教えて頂いたことは「まず愛でる、楽しむ。そして頭でなく、心で撮ろう」。
先生方がおっしゃっているように、写真は心を込めて撮れば、見てくださる人に伝わるのだということを、改めて確信しました。
これまで、身の程以上に機材費、旅費と時間を注ぎ込んでおり、自分でもバカじゃないかと呆れたりしていましたが、この受賞は全てを払拭し、これまでの人生で最良の日を与えてくれたのです。
フォトラベラーとしての私の理念、そしてこれから。
東京とシドニーを拠点にするようになってから、14年が過ぎました。
シドニーの生活でも、神様に試されているのではないかと思ってしまう程いろいろな事がありましたが、今は大丈夫。
心をリセットして、ワクワクさせる方法を知ったから。
私は写真世界の師や仲間たちから、今でも多くのことを学んでおり、それは知識·技術だけでなく、感性や発想まで多岐に及び、生きる張り合いになっています。
私自身が学んできた事を、今度は私が伝えていきたい。
フォトラベラーとなって世界中を歩き回り、写真に収め、発信し、一人でも多くの方に、非日常と触れるワクワクを知ってもらいたい。
未知の世界と繋がれる写真の楽しさ、時間を延ばしたり止めたりできる写真の面白さを体験してほしい。
"Photraveller" という言葉には、そんな想いがたっぷり込められているのです。
Photraveller だからって、必ずしも大きな旅行をする必要はなく、近くの公園の花やバルコニーにやってくる鳥だって、心がワクワクっとしたら、それがシャッターチャンスです。
人生そのものが旅のようなものですから、日々の身近な事からも素敵なシーンをどんどん切り取っていきたいです。
もちろん、まだ訪れていない地球上のあらゆる場所を訪れ、未知の世界にも触れていきます。
以前は一人旅が多かったのですが、今では写真の師や仲間たちと撮影旅行に行く楽しさの虜になりました。
人それぞれ視点も興味も違うので、カメラを向ける被写体が違います。
捉える時間の長短、アングルや構図の違いで、撮られた写真にはそれぞれのストーリーが刻まれます。
「同じ場所に行っているのに、仲間の写真には私には見えていなかった世界が沢山写っている。」
といったように、撮影旅行中は日々新しい発見の連続だし、自分に欠けていた部分の感性が育っていく実感がありました。
この経験で知った事は、残念ながら本を読んでも、人に説明されても学びきれないもの。
これからは、刺激し合える仲間を増やして、お互いの感性を磨き合えるような場を作っていきたいと思います。
ファインダー越しの向こうは別世界。
時間を止めたり伸ばすことのできる不思議な世界です。
シャッターを切ると、そこと繋がり、心がワクワクしてきます。
私の心を支えてくれた写真の楽しさやこのマジックを、一人でも多くの方に伝えられたらと思っています。
Photraveller Yori