写真と旅をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
10周年を迎えたオーストラリアン・フォトグラフィー・マガジン Australian Photography Magazine 主催のコンテストに応募しました。
フォトグラファー・オブ・ザ ・イヤー・2022として、2部門で入賞を果たすことができ、雑誌に掲載して頂きました。
- アニマル&ネイチャー部門 TOP 7(4枚組写真)
- ブラック&ホワイト部門 TOP 14(4枚組写真)
雑誌掲載までは至りませんでしたが、トラベル部門では佳作の評価を頂きました。
組写真は写真選びが難しく、コンテスト入選にはちょっとしたコツも必要でした。
その組写真のコツや写真の選び方を紹介します。
また、新たに挑戦している ICM撮影というテクニックで撮影した写真が7位に選ばれ、とても嬉しく思っています。
ICM撮影(ぶらし撮影)についても文中で説明致します。
フォトコン入賞&佳作作品、全12点をご覧ください!
Contents
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組写真のコツ、選び方、注意したこと
日本のフォトコンテストでも組写真を募集しているのがよくありますよね。
アートは何でもそうですが、絶対的な正解はなく、観る側の感性次第だと思います。
それでも、パッと見ただけで印象に残る作品というのは、作者の意が伝わっている証しなので、特にフォトコンなどでは大事なポイントになってきます。
組写真とは、2点以上の写真を1作品として組み、表現したい事をより明確に奥行きを持たせる展示方法です。
選んだ全ての単写真が相互に響き合わないといけません。
うまく撮れた単写真をただ集めて並べるだけではないのです。
オーストラリアン・フォトグラフィー・マガジンのコンテストは4枚一組がルールです。
これがとても難しい。
3枚までは選べても、最後の1枚で全体を壊してしまう事が多々あります。
4枚全てに相乗効果をもたらせ、より印象が残る1作品にするために以下のような事に注意しました。
1. テーマに沿った写真を選ぶ
もし与えられているテーマがあるなら、4枚全てがそのテーマに沿って撮影されていることが大事。
そして互いに影響し合う写真になっていること。
例えば、「波」がテーマなのに、3枚が波で1枚だけ滝の写真が入ってるような作品は評価が低くなります。
2. ストーリーを持たせる。
複数の写真でストーリーを語るのが組写真。
被写体の種類、動き、場所、時間の経過など、関連性を持った写真を選び、並べる順番もストーリーの流れを意識すること。
文字がなくても表現したい物語をきちんと語っているか吟味するのが大事。
3. 一貫性があること。
パッと見て印象的な組写真は、必ず以下のような一貫性があります。
色調
色の濃淡強弱、明度や彩度のトーンを統一させる。
例えば、3点がパステルカラー調で、1点だけビビッドカラー調の写真を入れると調子が狂い、良い印象が残りづらいです。
サイズ
基本は、4枚ともに同サイズ同方向が王道。
サイズや縦横がバラバラだと、見ている側にちぐはぐした不安定な感覚を持たれがち。
作品にスーッと入りにくくなります。
メインとなる写真だけ違うサイズや方向という方法もありますが、ストーリーの流れにあっているか吟味が必要です。
構図
同じ構図の写真を4枚揃えても、ドラマティックな表現ができます。
うまく4枚が揃わない時は、同じ構図の写真を意識して集めてみるのも手です。
日の丸構図は面白くないと言われがちですが、組写真だと思わぬ魅力が引き立ったりします。
4. タイトル重要!
生かすも殺すもタイトル次第だったりするので、これも重要ポイント。
タイトルだけでテーマにした物語が想像できるような言葉を選べたら最高ですよね。
説明になっているだけのタイトルだと、観ている側のイメージが膨らみづらいので盛り上がりに欠けます。
タイトルが4枚それぞれの写真にしっくりきているなら、作品を生かすものになっていると思います。
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表現によっては、2枚ずつ一貫性を持たせるのもアリだと思います。
例えば白黒作品で、2枚は白が基調、他の2枚は黒が基調になっているとか。
でもその場合もテーマは一貫性があることが大事です。
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TOP 14 ブラック&ホワイト部門入賞作品
オーストラリアン・フォトグラフィー・マガジン主催のフォトコンは、南半球最大のアマチュア写真家のためのコンテストです。
自由作品の場合はシングルショット、テーマ別の作品は4枚一組の組写真での応募ができます。
ブラック&ホワイト部門でTOP14を頂いた作品がこちらです。
『聖なる木の下で』”Under the sacred tree”
2022年9月にアフリカのボツワナ共和国で撮影した写真です。
地元の人たちから「聖なる木」と呼ばれているマシャトゥツリー。
大地の母のようなこの巨木は、夏は日陰を作り、冬は果実を実らせ、動物たちに多くの恩恵を与えています。
木の下に集まり共存する動物たちは柔らかい光に包まれ、幻想的な美しさが際立っていました。
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TOP 7 アニマル&ネイチャー部門入賞作品
アニマル&ネイチャー部門でTOP7を頂いた作品がこちら。
ICM撮影で、葉の透明感を狙った作品です。
合成や多重露光はしていない純粋なシングルショットです。
テーマは時、光、存在の平和的共存。
葉っぱからスピリットが生まれてくるような世界観を目指しました。
『三位一体:時と光と存在』"Trinity - Time, Light and Presence"
ICM撮影(Intentional Camera Movement) とは、露光中に意図的にカメラを動かしブレを作って表現する技法で、印象派風な世界観を捉えることができます。
ぶらし撮影とも呼ばれています。
現場の明るさにもよりますが、露光時間(シャッター速度)を0.5〜2秒に設定し、シャッターを切ってからカメラを動かします。
上や横に流したり、回したり、カメラを細かくシェイクして撮ることもあります。
明るすぎる場合はNDフィルター(レンズに入る光の量を減らすフィルター)を使用して、明るさを抑えながら撮影します。
絞り(F値)は数値を大きくした方が被写体のディテールが残りやすく、良い結果が出やすいようです。
これが正しいという設定は無いので、実験実験の繰り返しですが、想像を越えた写真が撮れる時があるのでハマってしまいます。
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佳作作品
2022年3月に、カナダのホワイトホースで撮影した写真の組写真です。
オーロラ写真を4枚並べても芸が無いと思い、いくつかの違う視点で見た満月の夜の景色をテーマにして組みました。
満月の光が作り出した雪上の星屑、ナイトレインボーに見えるハロ、雪原のストライプ、そして月の光に負けじと大空を揺らめき踊るオーロラ。
夢のような満月の夜でした。
オーロラの写真だけ縦構図にしてメインに位置付けてみましたが、全部横構図に揃えた方が評価はもっと良かったのかもしれません。
『ある満月の夜に』"One night at full moon."
まとめ
- 組写真のコツ
- ICM撮影について
- フォトコンテスト入選作品
をご紹介しました。
絶対の正解はありませんが、組写真のコツを知っているだけで、印象に残る作品にグッと近づけます。
普段から組写真を意識して撮影すると、視点が柔軟に広がり表現も豊かになれるなと実感しています。
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いつも応援ありがとうございます。
今後も更なる高みを目指して精進したいと思います。
この場を借りて感謝を申し上げます。
フォトラベラーYori