こんにちは。
旅と写真をこよなく愛する、フォトラベラー Yori です。
今回は、オーストラリアのイースター休暇の過ごし方やトリビアをまとめました。
イースターはクリスチャンにとってクリスマス以上に大切な日。
寒さが緩み春の訪れと共にキリストの復活をお祝いする日です。
国民の祝日がとても少ないオーストラリア人にとっては連休となる貴重な休暇でもあります。
北半球と季節が逆の南半球オーストラリアがイースターを迎えるのは、秋。
といってもまだまだ夏の気候が残っており、一年で一番過ごしやすい季節なのでビーチで過ごす人も沢山います。
冬から春になったばかりで寒さの残る北半球とは、過ごし方がちょっと違います。
オーストラリアならではのイースターの過ごし方、どんな料理を食べるのか、他の国との違いなどのトリビアをまとめました。
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南半球オーストラリアのイースター・トリビア
多くの仕事は日曜日が休日ですよね。
それはキリストが復活した曜日が「日曜日」だったことが所以です。
私たちは知らずと恩恵を頂いていたわけです。
そもそもイースターとはどんな日なのでしょう。
イースターってどんな日?
クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝う日でしたね。
イースターを一言で言うと、十字架刑を受け死んだイエス・キリストの復活を祝う日です。
十字架刑は、当時のローマ人が採用した最も屈辱的で残酷な極刑でした。
キリストは大衆を扇動したと言う不当な理由でその刑を受けることになりましたが、
「だれも、わたしからいのちを取った者はいません。わたしが自分からいのちを捨てるのです。」(新約聖書ヨハネによる福音書10章18節)
「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」(新約聖書ルカによる福音書23章46節)
と言葉を残し息を引き取ります。
「全ての人間には生まれながらにして罪を背負っているが、キリストが人々の罪を背負い、代わりに刑罰を受けた贖罪のお陰で、主に従う者は祝福に預かる機会を与えられる」
と解釈されています。
処刑3日後の日曜日、キリストはよみがえりました。
人々が生きる上で苦しみや困難に遭遇しても、復活し神となったキリストと共にいれば、導かれ、希望を持って乗り越えられる。
クリスチャンにとって生きる望みとなるキリストの復活祭・イースターは、生誕祭・クリスマス以上に大切にされています。
イースターはいつ?
イースターは、昼と夜の長さが同じになる春分の日から数えます。
春分の日→その後の、最初の満月の日→その後の、最初の日曜日日
この日曜日がイースターです。
ですので、クリスマスとは違い、日付は毎年変わります。
オーストラリアは季節が逆ですから、秋分の日から数えるということになりますね。
- グッドフライデー 聖金曜日(祝日)
- イースターサタデー
- イースター(祝日)
- イースターマンデー(祝日)
イースターの語源
イースターは春の訪れを祝う日でもあります。
諸説ありますが、その語源はゲルマン民族の「春と豊穣の女神エオストレ(Ēostre)」の名前が由来していると多くの人が考えています。
"Easter" と言う単語は英語です。
英語圏以外の多くの国では、「過越の祭り」から派生した単語であるラテン語の"Pascha"を由来とする言葉で呼ばれているそうです。
(過越の祭り)イスラエル人奴隷たちが解放され、エジプトから脱出した事を祝うユダヤ教の祝日。
イースターエッグ なぜ色を付けるの?
イースターはキリストの復活祭、すなわち生命の復活をお祝いする日です。
卵は命の始まりを意味するシンボル。
黄色い卵黄が太陽を連想させる為、古代から卵は春の祭りに使われていたそうです。
卵の固い殻は封印されたキリストの墓を表しており、「殻を割る」ことはイエスの死からの復活を表しています。
イースターではカラフルにペイントしてお祝いに使いますが、なぜカラフルに色を付けるのでしょう?
一説では、十字架に磔となったキリストの血が卵を赤く染めた。イースターに赤い卵を贈る事で、キリストが人々の罪を背負ってくれた事を思い起こさせる為、と言う説。
マグダラのマリアがローマ皇帝に献上した白い卵が赤く変わリ、キリストの復活を示したと言う逸話。
また、春の女神エオストレの連れていたウサギが彼女を喜ばす為にカラフルな卵を贈った、など諸説あります。
Source: Wikipedia
エッグハンティング
クリスマスプレゼントはサンタクロースが運んでくれると聞かされているように、今でも子供達はイースターバニーがカラフルに彩られたイースターエッグを運んでくるのだと聞いて育ちます。
イースターバニーはイースター前夜にその卵を庭や家の中に隠すんですね。
イースターの日にその卵を子供達が探すというのがエッグハンティングです。
"We do consider both the Tooth Fairy and the Easter Bunny to be essential workers".
Prime Minister of New Zealand Jacinda Ardern reassures children ahead of Easter - but admits "it's a bit difficult at the moment for the bunny to perhaps get everywhere." pic.twitter.com/OiZYXjFLU7
— Channel 4 News (@Channel4News) April 7, 2020
2020年4月7日、ロックダウン中のニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は公式に、
「イースターバニーと歯の妖精は必要不可欠な労働者である為、ロックダウン中でも任務を続けることができます」
と発表し、不安な気持ちで過ごしている子供達の心を温めてくれました。
イースターバニーは例年通りちゃんとカラフルエッグを届けてくれたことでしょう。
子供達を想ったとても素敵な対応でした。
イースターバニーとビルビー
もともとウサギはキリスト教との相性が良いモチーフでした。
なぜなら古代人は、ウサギは雌雄同体だから処女性を失わずに繁殖できると信じており、それが聖母マリアの処女性と馴染んだというわけです。
ウサギは、多産な生き物であることから、生命の繁栄、豊穣のシンボルとされており、イースターに欠かせないシンボルとなりました。
Source:Wikipedia
ビルビーは絶滅危惧種に指定されているオーストラリアの有袋類で、保護活動の意識を高めたり活動費を集める為、イースターバニーの代わりにチョコレートなどに変身して販売されています。
ビルビーが登場したもう1つの理由はオーストラリアで農業を営む人にとっては、野生のウサギは作物を荒らす迷惑者であるという事も背景にありました。
Source: The conversation
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オーストラリア人のイースターの過ごし方
イースター数日前、シドニーの青い大空に、くっきりと白いスカイライティングが浮かんでいました。
「十字架=ハート」
キリストの愛を伝えているのでしょうね。
私は一瞬、「た♡」に見えてしまった^^
イースター礼拝
1900年頃、オーストラリア国民のクリスチャンが占める割合は90%以上でした。
現在オーストラリアは、180ヶ国以上の移民たちが共に暮らす、多民族・多文化国家です。
その為、クリスチャンの人口に対する割合は60%を切りましたが、イースターには多くの方が家族で礼拝に出ます。
クリスチャンでなくてもイースター礼拝に出ることはできますが、曜日により意味合いが違うのでご注意ください。
聖金曜日は、キリストの受難を覚え喪に服す礼拝。
日曜日のイースターは、キリストの復活を祝う礼拝です。
Source: Wikipedia, (Australian Bureau of Statistics, Year book Australia)
イースターの食事は?どんなものを食べるの食べないの?
イースターは”グッドフライデー”と呼ばれる金曜日から始まります。
前述したように、聖金曜日はキリストが磔にされ死んだ日。
カトリック教徒は1100年も前から、金曜日には肉を食べないという戒律を守ってきたそうです。
ところが、1966年に教皇パウロ6世は,この戒律を緩和してもよいとの許可を教会に出し、今に至っています。
ただし、グッドフライデーという特別な日は、キリストの苦行に敬意を評し禁欲の意味も込め、現在でも肉食を避ける事が尊重されています。
source: ものみの塔
オーストラリアではエビやサーモンなどのシーフードやベジタリアン料理がよく食べられています。
そしてイースター当日には、ローズマリー薫るイースターラム、ビーフ、チキンと野菜のローストでお祝いします。
ホットクロスバンズ
マザーグースにも出てくる『ホットクロスバンズ Hot cross buns』。
Hot cross buns, hot cross buns.
One a penny, two a penny,
Hot cross buns.
Give them to your daughters,
Give them to your sons.
One a penny, two a penny,
Hot cross buns.
元々は、聖金曜日専用のパンです。
16世紀後半、神聖さを重んじたエリザベス1世は、死者の埋葬日、クリスマスと聖金曜日以外にホットクロスバンズを販売する事を禁じました。
十字架が描かれているバンズは特別なものだったのですね。
今では、イースターの2ヶ月も前からスーパーで売られています。
スーパーマーケットのコールスに至っては、2019年に「ホットクロスバンズは一年を通して販売します」と発表しました。
source: news.com.au
現在一般的に作られている酵母とシナモンを使ったホットクロスバンズのレシピは、14世紀、イギリスの聖オルバンズ大聖堂(St Albans)の僧侶が作ったレシピまで遡るそう。
Source: The Sunday morning herald
むっちりした感じの食感で、スパイスやドライフルーツの入ったホットクロスバンズ、この時期私も必ず一度は食べています。
バターたっぷりがやっぱり美味しい!
レストラン/店舗
日本では、祝日こそ店舗やレストランが賑わいますが、オーストラリアでは随分緩んできたものの、事情が違います。
キリストが生まれたクリスマスデー、喪に服す聖金曜日、復活を祝うイースターはほぼ全ての店舗やレストランがお休みになります。
営業されても、時間短縮になったりしますのでご注意を。
アルコールは買えません!
え〜!ってなる方もいらっしゃるかと思います^^
シドニーのあるNSW州には厳しい法律があり、喪に服すべき聖金曜日は、持ち帰り用のアルコールの販売が禁止されています。
ボトルショップで購入する事はできません。(いずれにせよ、店は閉まっていますが…)
ただし、認可されているパブでは敷地内で飲む事はできますが10pmまでです。
レストランでは、食事と一緒ならアルコールをオーダーする事ができます。
他州についてもまとめました。
ノーザンテリトリー NT | 持ち帰り用アルコールの販売は禁止 認可されたレストランで食事と共にオーダー可能。パブは休業。 |
西オーストラリア州 WA | ボトルショップは終日休業。食事と共に出されるアルコールのオーダーは認められています。 |
南オーストラリア州 SA | ほとんど全てのパブ、クラブ、ボトルショップは休業。認可されたレストランで食事と一緒にアルコールをオーダーする事をできる場合もありますが、ケースバイケース。 教会が多くチャーチタウンと呼ばれるアデレードはなおさら厳しそうですね。 |
ビクトリア州 VIC | この州も同様、持ち帰りのアルコールは購入できませんが、パブなどは正午から11pmまで営業します。認可されたパブでは、バーで持ち帰り用のアルコールを購入できますが、基本は禁止。観光客の多い地域では配慮があるようです。 |
クイーンズランド州 QLD | 国内で一番厳しい規制があるのがクイーンズランド。ほとんどのボトルショップやパブ、カジノ内のパブですら営業しません。 |
タスマニア州 TAS | タスマニアでは、驚くことに、聖金曜日のアルコール規制はありません。通常通りです。しかも、イースターマンデーの翌日の火曜日も祝日となっています。 |
各地のイベント
シドニー
シドニーではロイヤルイースターショーと呼ばれる国内最大の農業祭が催されます。
農産物、ワインなどだけでなく、羊の毛刈り、ロデオ、丸太切りなどのエンターテインメントが行われ、遊園地も併設されています。
子供から大人まで楽しめる12日間。一度行って損はない!
1822年に、シドニーの市民グループが、コンテストによってオーストラリアの一次生産品(農産物や畜産・酪農製品)の品質向上と発展を目指そうと、ニューサウスウェールズ州農業協会(Agricultural Society of NSW)を結成しました。
これがロイヤルイースターショーの始まりです。
ビクトリア州ベンディゴ
メルボルンのあるビクトリア州ベンディゴでは、1870年から続くThe Bendigo Easter Festival が開催されます。
2021年は開園150周年のお祝いの年!
ミュージックフェスティバル(最終日:イースターマンデー)
- National Folk Festival (キャンベラ)
- The Byron Bay East Coast Blues and Roots Bluesfest(バイロンベイ NSW州)
スポーツイベント(開催日:イースターマンデー)
- Stawell Easter Gift athletics competition ビクトリア州(19世紀後半から続くランニングレース)
- Three Peaks Race タスマニア(ヨットレース)
- Easter Racing Carnival シドニー(競馬)
- Brisbane to Gladstone yacht race ブリスベン(ヨットレース)
多くの競馬、フットボールなども各地で開催されます。
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まとめ
オーストラリアのイースター休暇の過ごし方やトリビアをご紹介しました。
オーストラリア人風にこの4日間の連休を過ごすなら、
- イースターに贈るチョコレートはウサギの代わりにビルビーにする。
- 聖金曜日にホットクロスバンを食べ、シーフードを味わい、静かな1日を過ごす。
- 土曜日の夜、イースター・エッグをいろんな場所に隠す。
- イースターの日曜日は家族で過ごす。教会に行く。子供達はエッグハンティング。ディナーはラム肉などのサンデーローストで祝う。
- 月曜日はイベントに参加したり、ビーチで友人と過ごしたり、家で家庭菜園や大工仕事をしたり、何もしない事をしてみたり。
といった感じでしょうか。
祝日の意味を知って過ごすのとそうでないのとでは、有り難みが違ってくる気がします。
どうぞ素敵なイースターホリデーをお過ごしください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。