こんにちは。
旅と写真をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
2019年から2020年にかけて猛威をふるっているオーストラリアの森林火災。
この山火事被害状況と募金方法について書いた記事の手順を参考にして、非常に多くの方が寄付をして下さっています。
その方々に心からのお礼とご報告を兼ねて、ポートマッコーリーにあるコアラ病院を視察してきました。
現地のレポートと、日本からでも「コアラの里親」になれる素敵な募金・寄付の方法も紹介します。
私もコアラのポール君とアンウェンちゃんのおかーさんになりました!
報道でご存知の通り、今回のオーストラリア火災で命を奪われた生き物の数は、哺乳類以外も含めると10億は超えるだろうと言われています。
コアラはカンガルーと並んでオーストラリアの固有種でもありシンボル的存在。
世界中の方々が心配しています。
ポートマッコーリーのコアラ病院は、オーストラリアで、即ち世界で唯一のコアラ専門病院。
ここの患者さんたちの里親になれるなんて、なんだか誇りを感じてしまいますよね!
皆さんが募金をしてくださったこの施設がどのような所なのか、どのような活動をしているのか視察したので、是非ご一読ください。
(視察したのは、2020年1月18日です。)
スポンサーリンク
Contents
スポンサーリンク
オーストラリア山火事で負傷したコアラの治療で注目されている「コアラ病院」を視察しました!
昨年11月、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で、燃え盛る火の中を自分の着ていたシャツを脱ぎ、それを使ってコアラを包み救出した勇敢な女性の映像が世界中で報道されました。ご記憶にある方も多いと思います。
#EXCLUSIVE: You may remember Lewis, the latest victim of the #NSWBushfire crisis.
Today, his heroic rescuer was reunited with the Koala, to get an update on his health. @lizziepearl #9News pic.twitter.com/Avw1750p4c
— Nine News Australia (@9NewsAUS) November 20, 2019
(ソース:9NewsAUS)
このコアラが運び込まれたのが、ポートマッコーリー・コアラ病院 (Port Macquarie Koala Hospital)。
救出した女性のお孫さんの名前にちなんでルイスと名付けられました。
コアラ病院によると、野生のコアラの場合、その平均寿命はメスで15年~18年、オスで10年~15年。
ルイスはかなりの高齢で、病院では前臼歯と臼歯の状態から14歳位ではないかと判断しました。
献身的な手厚い治療を受けながらも火傷の改善は見られず、衰弱も進み、高齢のルイスが耐えるにはむご過ぎる苦痛と痛みであるため、病院では安楽死で楽にしてあげる方法をとりました。
山火事により、ポートマッコーリー周辺では12月だけでも300頭を超えるコアラが命を落とし、コアラ病院には50頭近くのコアラが運びこまれ治療を受けたそうです。
懸命な治療を続けるコアラ病院の活動についてご紹介していきます。
ポートマッコーリー・コアラ病院はどこにあるの?
オーストラリア、ニューサウスウェールズ州のポートマッコーリーは、シドニー市街から北へおよそ390km、車で4時間ほどの場所にあります。
日本人に人気のシドニーとゴールドコーストのおよそ真ん中あたりの位置です。
ポートマッコーリーはタスマン海に面し、自然の豊かさを満喫できる風光明媚な沿海都市で、特に5月から11月にかけてはホエールウォッチングが最適な場所ということもあり人気のホリデースポットとなっています。
また、愛知県半田市は1990年よりポートマッコーリー市と姉妹都市と提携を結んでいるそうです。
コアラ病院は、この美しい街の海辺に近いユーカリが茂る敷地の中にありました。
コアラ病院の営業日・時間
- クリスマス(12月25日)以外は年中無休でオープンしています。
- 8am~4:30pm
- 入園無料
- 毎日3pmからガイドツアーがあります。ツアーは餌の時間に合わせてあるので「寝ていない」コアラの動く姿や食事する姿を、ボランティアガイドの説明付きで見学することができます!
ポートマッコーリー・コアラ病院はどんな団体なの?
1973年にコアラ専門の病院として設立された非営利団体です。
コアラの治療だけでなく、政府や各大学の研究機関とも連携を取り、情報提供やアドバイスも行なっています。
ボランティアで活動をされているDeidre Rawardさんにお話しを伺いました。
現在(2020年1月18日)7人のスタッフのみがお給料を払われる形で仕事をしているとのこと。
- フルタイム(3名):クリニックのドクター、アシスタントドクター、事務管理マネージャー
- パートタイム(4名):コアラのケア、ユーカリ採集(各個体が生息地で食べていたのと同じ種類のユーカリを与えるのが望ましく、また水分を含んでいる新鮮な葉であることも必要なため、大変ボリュームのあるお仕事なのだそうです。ちなみに一頭のコアラは1日に500グラムの葉を食べます)
そして、17歳から85歳のおよそ160人のボランティアの方々で運営されています。
ケアをしているコアラの数は通常1年間におよそ250頭。
しかし今回の山火事で火傷などを負ったコアラが、すでに50頭以上が搬送されてきたそうです。
コアラの病院を増やす必要があるということで、NSW州では予算を計上し、新たな病院の建設を始めるということです。
ポートマッコーリー・コアラ病院の施設の様子は?
視察した日は、数ヶ月ぶりのまとまった雨となり、普段なら不平を言いそうな大雨でしたが、この恵に皆ほころんでいました。
施設の様子
コアラ病院の入口です。
入り口で、カラフルなコアラが出迎えてくれました。
入るとすぐの所にコアラの生態に関する展示室があります。
その隣にはお土産やさん。ここで販売された商品の売り上げはすべて施設の運営に使われます。
奥にコアラの治療室があります。この治療室はガラス張りで、外から治療の様子を見ることができる設計になっています。
私が訪れた時間に治療を受けている患者さんはいませんでした。
(ソース:Port Macquarie Koala Hospital)
治療室窓の横のスペースには、治療を受けたり、特別食を食べさせてもらっているコアラを撮影した写真が沢山貼ってありました。
山火事でコアラが負った火傷がどれほど酷いものだったかを知ることもできました。(つらい写真もあるのでご注意ください)
屋外のスペースは、コアラのリハビリ施設になっています。
コアラも久しぶりの雨が嬉しいのか、はたまた気にならないのか、雨の中でスヤスヤお休み中でした^^。
コアラはテリトリー性の強い動物です。
加えて、ユーカリは900種類もあるものの、どの種類のユーカリでも食べる訳ではなく、そのコアラが生息している地域にある中から10種類ほどのユーカリを限定して食べるという習性があるため、コアラは救助された場所と同じ所に戻されます。
今回の山火事では、戻そうにも広範囲に焼失してしまっているため、生息地域の環境を取り戻すという事がこれから必要な大きな課題です。
山火事の火を消しただけでは問題解決にはならないのです。
次の動画は、コアラ病院で目の感染症の治療を受けていたコアラのジャンがリリースされた時のものです。
なんだか名残惜しそうな表情をしていませんか?
View this post on Instagram
(ソース:The Port Macquarie Koala Hospital)
全盲だったり、野生に戻す事の方がリスクになる患者さんの場合は、生涯こちらの病院で過ごします。
現在8頭のコアラがそのパーマネントケアを受けています。
ポートマッコーリー・コアラ病院はどんな活動をしているの?
主に、以下7つを柱に活動されています。
- 救助、保護
- 治療
- リハビリ、リリース
- コアラ生息地の水飲み場設置
- ユーカリの植樹
- 里親プログラムの実施
- コアラに関する知識の啓発、リサーチ
それぞれの活動について、再度ボランティアのDeidreさんに伺いました。
救助、保護
コアラ病院のレスキュー隊は24時間、365日、いつでも救助できる体制が整っており、年間で約200頭以上の野生のコアラを救助しているそうです。
コアラ病院で治療されるコアラ達は、保護された場所や保護した人の名前に由来する名を付けられます。
それは、野生に戻す準備が整った時に同じ場所に戻す必要があるため、皆が間違いなく認識できるよう考慮しているからです。
治療
コアラ病院に運び込まれるコアラはNSW州全域に及んでいます。
山火事現場レポートにシドニー郊外ブルーマウンテンズが火の海と化した様子を書きましたが、ここで救助されたコアラの親子も現在この病院で治療を受けています。
(ソース:The Port Macquarie Koala Hospital)
こちらがコアラの治療を一手に引き受けていらっしゃるCheyne Flanaganさんです。
コアラ病院に所属して20年間、どれだけの数の命を救ってきたのでしょう。
尊いお仕事です。
リハビリ、リリース
こちらでは治療を4つに分けて管理しています。
パーマネント | 野生に戻せない状態のため、病院で生涯過ごすコアラのケア |
---|---|
インテンシブ | 集中的な治療を必要とするのコアラのケア屋内に8匹分のICU集中治療室が完備されています。(訪問者に公開しません) |
ホーム | スタッフの自宅でケア(主に幼い子の場合) |
リハビリ | 治療を終えたコアラは野生に戻す準備としてリハビリ施設に移されます。公開しているので、だれでも会うことができます。 |
コアラ生息地の水飲み場設置
コアラ病院は、コアラ生息地の水飲み場の設置に力を入れています。
昨年から、雨の降らない日が続き、オーストラリアでは非常に乾燥した状態が続いています。
この乾燥が山火事の被害を拡大した理由の一つでもあります。
コアラという名は、オーストラリア原住民の言葉で「少しだけ飲む」に由来しているように、65%が水分であるユーカリを食べる事だけで水分が補われています。
ただし、体調が悪かったり、ストレスが溜まった時は直接水分を取ります。
シドニー大学のリサーチによると、近年の乾燥のため、ユーカリの葉が含む水分が減少しており、葉を食べるだけではコアラは水分が補いきれなくなっているという事実もわかってきています。
そこでコアラ病院は、コアラだけでなく、他の野生動物が生き残る為にも有効な手段である水飲み場の設置に力を入れ始めました。
動物の生態に合わせ、地面の部分と中間部分の2箇所で補水ができるようになっています。
この設置には、1台2500ドル(およそ19万円)の費用がかかるとのこと。
皆さんからの募金はこの水飲み場設置にも役に立っています。
ユーカリの植樹
コアラ病院設立当初から始められた活動の一つが、コアラの餌となるユーカリの植樹です。
宅地化などで森が伐採され、コアラの生息地が年々減っています。
山火事で焼失した環境を整える必要もあります。
15ドルあればコアラの餌になる木が一本植樹できるそうで、こちらも皆さんからの寄付が役立っています。
里親プログラムの実施
あなたもコアラの里親になれるんですよ!
コアラ病院では、こんなワクワクするプログラムも実施しています。
現地でも、日本を含む海外どこからでも参加可能です。
リストの中から、自分がサポートしたいコアラを自由に選べるのも素敵です。
今回私はコアラ病院に出向いた際、おかーさんになってきました!
その子は、ポートマッコーリー周辺で起きた山火事で全身に火傷を負ってしまった”Lake Innes Nature Reserve Paul”、略してポール君。
Lake Innes Nature Reserveはポール君が救出された場所の名前です。
火傷治療の手袋がまだ痛々しい、この子です!
1年間のプログラムですが、毎年更新することもできます。
また、その子のコンディションにもよりますが、コアラ病院に訪れた際、合わせてもらうこともできるそうです。
コアラに関する知識の啓発、リサーチ
リサーチ、研究センターでもあるコアラ病院は、政府、シドニー大学、クイーンズランド大学、オーストラリア博物館だけでなく、各国の動物園や研究者とも強い繋がりを持っており、情報交換、アドバイスを積極的に行なっています。
また、獣医や動物看護師を目指す人たちに現場経験の機会を提供しています。
コアラ病院から、オーストラリアに住んでいる方にお願い
すでに死んでいると思われるコアラを発見した場合も、病院に連絡を入れてほしいとのことでした。お腹の袋の中に赤ちゃんがいるかもしれないからです!他の動物保護施設と連携が取れるので、オーストラリアのどこからでも連絡を入れて欲しいとのことでした。
スポンサーリンク
オーストラリア・コアラ病院|あなたも里親になれる!素敵な募金・寄付の方法を日本語で紹介します
コアラ病院に一般募金をする方法はこちらに記載しております。
この記事では、ご自分で選んだコアラの里親になる方法をご紹介しますね!
里親になる方法
里親プログラムは2種類あります。内容は同じですが、届くものが違います。
記載するドルはオーストラリアドル(AUD)です。
通常 | 郵送で、里親証明書、里子コアラの説明、パンフレット、しおり、ニュースレター(いずれも英語)が届きます。
*オーストラリア国内から:60ドル/1年 |
---|---|
eアダプション | eメールで、里親証明書(英語)が届きます。
*オーストラリア国内、海外ともに一律40ドル/1年 |
私は現地に出向きましたし、資料も欲しかったので通常プログラムで里親になりましたが、コアラ病院では日本を含む海外から申し込むなら、簡単で手軽な金額のeアダプションを勧めていました。
忙しいボランティアの方々の手間も抑えられるので、この記事ではeアダプションの手順を紹介します。
里親プロジェクトの募金・寄付の手順
eアダプションで、日本から申し込みした形でアンウェンちゃんの里親を申し込みました。
その手順を説明します。
<ステップ1>
里親の申し込みはこちらをクリックしてください。
ビザカード、マスターカード、ペイパルでの支払いが可能です。
コアラ病院ウェブサイトのトップページが開くので、赤丸の部分をクリックします。
<ステップ2>
下のページが開きます。
ここには、コアラ病院にいるコアラの状況、回復しリリースされたコアラのこと、里親をさがしているコアラのことが説明されています。
通過がAUDオーストラリアドルになっていますが、カード・ペイパルでの支払い時に自動的に換算されるのでそのままで大丈夫です。
ページをするロールして下へ移動してください。
ページの下に移動すると、このような現在里親募集中のコアラのリストが出てきますので、好きな子を選んで写真をクリックしてください。
ちなみに、今回の火災で被害にあったコアラは、LINR Anwenと、LINR Paulです。(2020年1月27日現在)
<ステップ3>
里子にしたいコアラを選び写真をクリックすると、この画面が出てきます。
写真の下には、この子がどこで保護場所、治療内容、症状などが説明がされています。
赤枠で囲んだ部分を入力します。
入力部分を拡大します。
ここには、里親証明書に記載される際の、あなたの名前を入力します。何語で記載するかも選択できます。日本語でも英語でも可能です。
入力したら、赤丸で囲んだ「Add to cart」ボタンをクリックしてください。
下のように確認のウインドーが出てきますので「Checkout」をクリックして支払いに進んでください。
40ドルは1年間の料金です。
1年経つ頃に、更新を希望するかどうかメールが来るそうです。
<ステップ4>
里親になる方の名前、住所などを入力してください。(半角文字で入力)
入力できたら、一番したの「Continue to payment」をクリックし、支払いに進みます。
<ステップ5>
クレジットカードの詳細を入力してください。
入力が完了したら、一番下の「Pay now」をクリックします。クリックしたら即決済になります。支払いの確認画面は出てきません。
<ステップ6>
申し込み完了です!
メールアドレスに支払完了と取引番号のメールが届きます。
里親証明書が届きました!
10分ほどで、メールに里親証明書が届きました!
もし届かない場合は、迷惑メールに入っているかもしれないので確認してみてください。
PDFファイルで届くので、ダウンロードしてプリントもできます。
スポンサーリンク
まとめ
オーストラリア山火事で怪我や火傷を負ったコアラも入院している、ポートマッコーリーのコアラ病院の視察をレポートしました。
多くの方が募金に協力してくださっているこのコアラ病院はどのような活動をしているのか、そしてどんなに素晴らしい病院かということもお判りいただけたと思います。
日本を含む海外からでも、里親になることで募金や寄付ができるというプログラムの実施も素敵です。
私もポール君とアンウェンちゃんのおかーさんになってから、ユーカリは沢山たべたかな?順調に快復しているかな?と毎日ワクワクしています。
世界唯一のコアラ専門病院のコアラが、自分の里子だなんて誇らしいではありませんか!
ボランティアの方々は責任と誇りを持ってお仕事をされており、私が伺った質問で不明な点があれば、その都度確認して正しい情報をくださる努力もしてくださいました。
ボランティアの方一人一人まで浸透している「コアラを助けたい」という気持ちが暖かく伝わってくる素敵な病院でした。
患者さんたちも幸せなことでしょう。
遠方でしたが、とても有意義な視察となりました。
世界中からの募金や寄付のおかげで、オーストラリア固有種のコアラが救われています。
オーストラリア住民として、心から感謝いたします。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。