こんにちは。
写真と旅をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
今回は、オーストラリアのアウトバックの冒険旅行と撮影秘話を、前半・後半の2回に分けて紹介します。
アウトバックとは、オーストラリアの内陸部の遠隔地のことで、砂漠と低木が広がる人口密度の低い地帯のことです。
この国は日本の国土の20倍あります。
ヨーロッパがすっぽり収まってしまう程大きい島大陸です。
国内なのに、飛行機でも東から西まで5時間もかかります。
どこまでも平らなアウトバックの赤い大地、地平線まで続くまっすぐな道。
これを体感するにはやはりドライブでしょう!
前半はシドニーから1200キロ、ニューサウスウェールズ州の西の果てにある鉱山都市ブロークンヒルを目指した冒険の紹介です。
後半はマッドマックス2などの映画撮影地として有名なシルバートン、そして枯れた無数の木が水面に残る不思議な景色のメニンディー湖での撮影秘話。
アウトバックをドライブする時の大事な注意点もまとめてみましたので参考になさってください。
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リアルなアウトバックのブロークンヒルへ撮影しに行ってきた!
ブロークンヒル(Broken Hill)は、ニューサウスウェールズ州の最西端、同じ州のシドニーからは、ひたすら西へおよそ1200キロの距離にあります。
ざっと計算して東京から長崎の距離。隣の南オーストラリア州のアデレードからは500キロなので、経済活動的にはアデレードとの関わりが強い町です。
そのため、ニューサウスウェールズ州なのにアデレード時間を採用しており、なんと30分の時差がありました。
ちなみに車以外でも交通手段はあります。
- 飛行機:アデレード(Adelaide)、シドニー(Sydney)、メルボルン(Melbourne)、ダボ(Dubbo)、ミルデューラ(Mildura)、からフライトがあります。
- 列車:アウトバック・エクスプローラー(シドニーからブロークンヒル。週1回のみ。)、インディアン・パシフィック号(シドニーからもアデレードからもブロークンヒル行きが出ています。)
- バス:アデレードからはバスも出ています。
ブロークンヒルはどんな町なの?
2015年に、国家遺産に登録された鉱業都市です。
1885年に設立されたBroken Hill Proprietary Companyは、現在の世界最大の鉱業資源会社、BHPビリトンの前身です。
1950年代をピークに衰退が続いているものの、今でも鉱業は主要産業で、5000万トンの鉛や亜鉛、2万トンのシルバーを採取しているそうです。
鉱業以外でも牧羊産業、観光、文化活動も盛んです。
インフォメーションセンターがガイドブックを無料で送ってくれる
ブロークンヒルは観光にも力を入れている町だからか、インフォメーションセンターがとても親切です。
カウンターでツアーや宿泊の予約のお手伝いもしてくれます。
お土産もいろいろ販売されていました。
事前にウェブサイトからガイドブックを見ることもできますが、プリントした小冊子、宿泊施設、地図などをセットにしたインフォメーションパックを無料で郵送してくれます。
地図は大雑把でしたが、ガソリンスタンド(ペトロールステーション)の場所も記載されていたので、ネットが繋がらない場所では便利に利用できました。
請求ページに国を選ぶ箇所もあるので、海外にも送ってくれるみたいですね。
鉱業労働者の長い戦いが、今の私たちに恩恵をもたらしている
『天空の城ラピュタ』で、主人公のひとり、パズー少年が働いていた鉱山ではないかと“噂”されるクイーンズランド州のマウントアイザ(Mount Isa)もそうでしたが、殺伐とした乾いた荒野と、くたびれた感のある産業機械の点在する景色が映画を見ているようで、なんとも魅力的なアウトバックの町です。
ローカルのツアーでは、そのような採掘場跡 (Day Dream Mine等) の地上だけでなく地下深くヘルメットをかぶりながら回るツアーも催行されています。
当時は14~15歳の少年たちも穴の中で働いていたそうですが、鉱山労働者の仕事は過酷で、ほとんどが視力低下、呼吸器障害を患ったそうです。
1919年に、その何千人もの労働者たちが雇い主である世界最大の鉱業会社を相手取り、18ヶ月にも及ぶストライキ “Great Strike”を行いました。
安全な労働環境の確保の権利や条件などを勝ち取るためです。
彼らの努力が勝ち取った権利、例えば週35時間労働や、労働現場·職場の安全補償などの権利は今現在にも受け継がれ、私たちの社会活動を守ってくれています。
オーストラリアの労働環境の質の高さは、ブロークンヒルから始まったのでした。
映画屋がほっておけないブロークンヒルの赤い荒野
車を10分ほど走らせれば、目の前に赤い荒野が広がります。
映画を引き立てる絶妙な空気感と背景。
『マッドマックス2』や『ミッションインポッシブル2』を思い出す人も多いでしょう。
私は『プリシラ』 “The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert” が好きだったぁ。
シドニーに住む3人のドラァグ・クイーンがおんぼろバスを手に入れアウトバックを旅するというオーストラリア映画です。
どの映画も、キャストと同じ位、いやそれ以上に背景の大地が印象に残るのでした。
自分もその場所に身を置いてみたいと思わせてしまうブロークンヒルマジックなのだ。
いや、単に映画が面白かっただけかな。
大成功した映画『プリシラ』にあやかって、ブロークンヒルでは毎年9月に3日間「ブロークンヒール・フェスティバル」(BROKEN HEEL! 上手い!)が開催され、各地からドラァグ・クイーン&キングが集まりパフォーマンスやパレードを見せてくれるそうです。
映画はキラキラドラァグ・クイーンと乾いた大地の不釣り合いさが魅力だったけど、生で見たら楽しいだろうなあ。
ブロークンヒールフェスティバル オフィシャルHPはこちら(英語)
イースターの夕陽と満月をブロークンヒルで撮ってみた
今回の冒険はイースターホリデーを利用して行きました。
イースターはクリスマスと並ぶビッグホリデーです。
「春分の日の後の最初の満月が現れた次の日曜日」。
ちょっとややこしい。
到着した金曜日が満月でした。
せっかくここまで来たのだから、アウトバックな大地とコラボした月や星、夕陽も朝日も撮ってみたい!
町からBrookfield Avenueを数キロ離れたあたりで見晴らしの良い場所を見つけサンセット待ち。
この日、夕焼けは燃えに燃え、地平線と低木のシルエットが刻一刻と変わる色に包まれました。
後ろを振り返ると、ドキッとするほど大きな満月がユーカリの枝の間から顔を出しました。
15時間ドライブを頑張ったご褒美かな。
ついでにゴージャスなサンライズも見せくださいかみさま。
夜は雲に覆われる日が続いたのと、雲が切れても満月の光が強すぎて星光を弱めたのと、主に睡魔に勝てず、残念ながら星空写真は撮れなかったのでした。
今回のブロークンヒルでの宿泊先は?
この町でもホテルやコテージからキャラバンパークまで、予算や目的に合わせて選択肢がいろいろあります。
今回はキャラバンパークでのテント泊をチョイス。
町中で便利な事、機材の充電が必要なのでパワードサイトがある事が条件でした。
結果、Broken Hill tourist park を利用しました。
電源使用可能なテントサイト、シャワー、トイレ、ランドリー、キッチン、BBQエリア、プール、無料Wifiあり、ペット可。
ここは環境も良く施設も綺麗で整っていたので満足です。
キャビンを借りて泊まる事もできます。
宿泊者に限り、ここのレセプションで予約できるデイツアーは25%ほどディスカウントで参加できるというポスターが貼ってありました。
Broken Hill tourist park オフィシャルHPはこちら(英語)
ブロークンヒルの町とその周辺はインターネットがつながります。
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【過信禁物】オーストラリアのアウトバックをドライブする時の3つの注意事項
100キロ移動しなくても、どこかに町があるような日本とはスケールがちがいます。
全く車とすれ違わない場所や時間帯もあり、何か起きてしまっても助けを呼ぶことさえ難しいです。
知っておかないと非常に危険でもあります。
楽しいドライブのためにも過信は絶対禁物です。
シドニーから西に進む1200キロのルートで説明します。
町と町の間には全く何も無い
シドニーから500キロほど西の町Nynganから先は、町と町の間に全く何もありません。
民家もお店もガソリンスタンド(ペトロールステーション)も皆無です。
町と町の間は100キロから場所によっては200キロも離れていたりします。
その間、燃料が入れられません。
「この先157キロペトロールステーションはありません」といった看板が普通に立っていました。
車の燃料タンクの大きさ、リッターあたりの走行距離を把握しておく必要があります。
早め早めの給油は必須です。
ペトロールステーションは基本的に朝5時から深夜12時までやっているようです。
営業時間外の時間帯に運転する場合、給油ができないので次の町に到着する時間を把握しておく必要もあります。
万が一ガス欠になった時は、通過する車を待ち、止まってもらい、事情を説明して、次の町でロードサービスの手配をしてもらうしかないと思います。
夏場は40度を超える気候なので、ロードサービスを待っている間は熱中症などにならないよう注意も必要です。
電話は圏外。ネットも繋がりません。
60キロほどごとに緊急用の電話はだけは設置されています。
基本的な車の整備に関する知識を持つことも必須です。
車に詳しい友人に、いざという時の為の最低限必要な携行品をリストアップしてもらいました。
- エンジンオイル
- ラジエーター用の水
- バッテリーのジャンプ
- 交換用タイヤ
出発前に確認しておきましょう!
カンガルーの予想不可能な行動を回避するには
予想不可能な分、何よりも怖いのが夜のカンガルーです。
光へ突進する習性があるので、車のヘッドライトへ向かってあらぬ方向から突っ込んで来ます。
車がダメージを受け走行不可能になったり、命を落とすドライバーもいます。
カンガルーを殺してしまうことにもなります。
この事故をさけるためには、夜行性のカンガルーが活動的な夕方~夜~早朝の運転は控えることがベストです。
やむを得ず運転する場合は、制限速度110キロの道でも時速80~90キロ走行した方がリスクを大幅に減らせます。
カンガルーバーの必要性を改めて感じました。
ロードトレインに遭遇したらどうする?
ロードトレインというのは、コンテナを積載したトレーラーをいくつも連結牽引しているトラックのことです。
以前、初めて運転中にロードトレインに遭遇して追い越そうとした時に、なぜトラックに大きく「ROAD TRAIN」と書いてあるのかが良くわかりました。
本当に「道の電車」なのでした。
認識していないと安全に追い越しなんて出来ないほど長いのです。
今回のルートで遭遇したロードトレインのほとんどは、トレーラーを2台連結させているもので、一番長くても3台でした。
それでも全長数十メートルあります。
アデレードから北上するルートの場合は直線道路が長いため、全長100メートルを超すロードトレインもあるのだとか。
- 郊外のハイウェイは片側一車線なので、追い越す時は反対車線に入らないといけない。
- 追い越し時の風の巻き込みが非常に強い。
「今が追い越すいいタイミングだよ」と手で合図してくれるロードトレインのドライバーもいますが、無理をせず、追い越し車線が現れるのを待つのも一策です。
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まとめ
片道1200キロ、全走行距離3000キロ、オーストラリアのリアル・アウトバックを行く冒険旅行を紹介しました。
- オーストラリア国家遺産ブロークンヒルの魅力
- 鉱山労働者の戦いが私たちに残してくれたこと
- ブロークンヒルでの宿泊について
- オーストラリアのアウトバックをドライブする時の3つの注意事項
荒野のドライブでは対向車のドライバーが必ずと言っていいほど挨拶をしてくれます。
キャンプ場で会った人たちともすぐにおしゃべりが始まります。
アウトバックに行けば行くほど人は少なくなりますよね。
その分人と人の距離が縮まり、お互い暖かい気持ちを持つようになることがわかりました。
なんだかんだ言っても、人は人との関わりを大切にしたいものなんだなあと感じ入る旅になりました。
- ブロークンヒル近郊、マッドマックスのロケ地で有名なシルバートンと、パブで出会った珍客
- アウトバックのキャラバンパーク事情
- メニンディーの「デスレイク・死の湖」撮影秘話
などを紹介しています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。