こんにちは。
旅と写真をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
今回は、ギネス世界記録認定「雷が世界一多い場所、南米ベネズエラ・カタトゥンボ」へ撮影に行った時に見た、脅威の雷ショーを写真と共に紹介します。
日本では夏が雷シーズンですが、カタトゥンボでの雷発生は年間最大で300日!
それゆえ「カタトゥンボの灯台」と呼ばれ、航行目標代わりにも使われていたとか。
ギネス世界記録に納得です。
音しない雷、スパイダー雷などなど、一晩中大迫力の雷光ショーが繰り広げられます。
無事、迫力の雷写真も撮れました!
マラカイボ湖に流れ込むカタトゥンボ川河口では、雷がなぜ世界一になるほど多いのか。
音がしない雷?! スパイダー雷?!
謎だらけの雷多発地帯をご紹介します。
Contents
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雷が世界一多いギネス世界記録の場所・ベネズエラのカタトゥンボってどんな所?
地球上には本当に興味深い様々な場所がありますね。
世界一の雷多発地帯はどんな所なのでしょう。
カタトゥンボの場所
南米、ベネズエラ。
カタトゥンボは、南米大陸最大の湖「マラカイボ湖」に流れこむカタトゥンボ川の河口にあります。
首都カラカスから南西へ800kmほど内陸、コロンビアとの国境に近い地域で、南米を縦断する全長7500kmのアンデス山脈の北の端にあたります。
*赤マークがカタトゥンボ、黄色のマーカーがアンデス山脈です。
どの位雷が発生するの?
ギネス世界記録の公式ページによると、
この地域では1年を通じて、1平方キロメートルあたり250回の雷光が発生し、9時間もの時間継続する。その現象は、年間最大で300日発生する。
Source: Guinness World Record
とあります。
カタトゥンボの雷を13年間観察してきたベネズエラの環境問題研究家エリック・キロガ (Erick Quiroga) 氏によってギネスに申請され、一年後の2014年1月、世界記録に認定されました。
最大週6日も発生する計算ですよ!
日曜日だけ休んで、あとは毎日雷な感じ^^
雷撮影ベストシーズン
嵐は1月〜2月の乾季に緩和され、雨季のピークは10月。
雷鑑賞には、一番迫力のシーンが見られる10月がベストだそうです。
それに合わせ、私が行ったのも10月。
雷ショーは日が沈んだ後の7pm位から始まり、明け方まで続きました
カタトゥンボの灯台
カタトゥンボの雷光は40km離れた所からでも目視できるほど強いと言われています。
年間最大で300日以上発生している事から、15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた大航海時代、植民地の船員たちはこの雷を灯台代わりに使っていたとか。
また、雷はその時代、奇襲をかけるイギリスやスペイン艦隊を照らし出し、ベネズエラを侵略から守ったと記録されています。
Source: Reuters official site
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ベネズエラのカタトゥンボは、なぜ雷が世界一多いの?
このミステリーの謎を解くために、古くから研究者たちは異常な雷多発の原因を探ってきました。
- ウラン説
1960年代の研究:地中の岩盤内に堆積したウラン鉱床が雷多発の原因では?
>>> 立証されず。 - メタンガス説
1900年代後半の研究:油田から出ているメタンガスが雷多発の原因では?
>>> 研究者たちの賛同を得られず。
この説の背景には、ベネズエラの原油(石油)埋蔵量が関係しています。実は驚くなかれ、現在でもベネズエラはサウジアラビアを抜き世界第一なのです。(Source: eia/ U.S. Energy Information Administration) - 地形説
現在では、雷多発の原因はカタトゥンボの独特な地形と気象によるものとされています。
雷発生のメカニズム
まず簡単に、雷の発生原因を確認しておきましょう。
諸説あるようですが、一般的には大規模な静電気の放電現象と言われています。
- 夏の風物詩でもあるモクモクの積乱雲(入道雲)が発達する。
- その雲の中で、氷の粒は上昇気流によって上に向かう。
- 上空の方が気温が低いため、氷の粒は成長し重くなり、下へ向かって降りてくる。
- この上に向かう粒と下に向かう粒がぶつかったり、こすれ合ったりする激しい摩擦により、静電気が発生する。
- 雲中に静電気が溜まり、抱えきれなくなると「放電」する。この時に雷が発生します。
カタトゥンボの地形がどのように雷を発生させているのか。
世界最長のアンデス山脈の北の端がマラカイボ湖周辺にあたります。
カリブ海側だけが開いた形で、東西南方向はこの標高の高いアンデス山脈に囲まれた地域です。
特に東と西側には、ベネズエラで一番高い5000m級の山、西側には2番目に高い4000m級の山がが鎮座しています。
- ベネズエラで一番標高の高い ボリバル山 4,978m
- ベネズエラで二番目に標高の高い セロ・ピンタド山 3660m
カタトゥンボ雷のメカニズム
- 日中、熱帯の暑い太陽の熱がマラカイボ湖や周辺の湿地の水を蒸発させると、上昇気流が起き、積乱雲が発生する。
- 夕方になると、アンデス山脈から冷やされた空気が、この暑い空気に流れ込む。
- 更に、北側のカリブ海から暖かく湿った貿易風が吹き込み、暑い空気と冷たい空気を押し込める。高い山脈があるため、空気は逃げることができない。
- 温度差のある大気が混ざり合い、積乱雲が更に大きく成長し雷が発生する。
マラカイボ湖では、この地形のために一年を通して、巨大な積乱雲が絶えず発生し雷を引き起こしているのです。
高さ12kmにも及ぶ巨大積乱雲も発生するそうです。
住んでる人はいるの?
私たちが訪れたのはカタトゥンボ川河口、マラカイボ湖に面したオロガ村。
この地域には200人ほどの住民がいます。
水面に面した場所、もしくは水上に小屋を建てて住んでいました。
ほとんどの人が漁師として生計を立てているそうです。
漁は雷をうまく利用していて、夕方、網を仕掛けておくと、雷でパニックとなった魚が網に飛び込み、朝には獲れているのだそう。
宿泊は水上ロッジ
私たちが泊まったのも、住民たちと同じような水上の小屋でした。
ここにみんな並んでハンモックで寝ます。
夜、嵐が来て水面が荒れると、床板のすきまから水が噴き出してくるので、あわてて荷物やカメラバックなどをビニール袋に包んで守らないといけない、なかなかワイルドな所でした。
住民のおまじない
雷が鳴りだすと、住民たちは家の中で火を炊き始めました。
こうしておくと、雷が家に落ちないのだとか。
とは言うものの、2010年1月から3月にかけて104年ぶりに雷が発生しないことが続き、住民たちはそれに不安を覚えましたが、雷が戻り安堵したそうです。
雷あってのカタトゥンボの生活なのですね。
原因はエルニーニョ現象によるものと考えられています。
Source: Guinness World Record
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写真公開!音のしない不思議な雷?! ギネス世界記録認定、ベネズエラ・カタトゥンボの雷がヤバい!
どんな雷が発生するのか。
噂通り、本当に音がしないのか?
期待が高まります。
地元の方が、「東と西に嵐が発生して、それがこの頭上で一つになると、凄まじい雷が起きるよ」とおっしゃっていたのですが …
起こってしまいました!
そして珍しい自然現象をいくつも見ることができました。
時系列で紹介します。
雷ショーの幕開けは音のしない雷
日が落ちてしばらくすると、北東の方角から雷が起き始めました。
噂に聞いていたように、音は全く聞こえません。
このミステリー理由はまだわかっていないそうです。
西の方角の空の積乱雲がどんどん成長してきました。
雲の中は雷光で絶えず瞬いています。
360度、全方向に本気の雷ショー
北東方向に雷が光っています。
この写真は露光時間60秒だったので、1分の間に目視できるだけでも6本程の雷が落ちたということになります。
深夜近くに嵐になりました。
強風が起こり、水面が暴れ、床板の隙間から水が溢れ、雨が吹き込み、もう大変なこっちゃです。
が、これを期待してきたので皆笑顔^^
東と西の嵐が頭上で一つになった模様。
半端ない巨大な雷がすぐそばに落ち始めました。
これはさすがに鼓膜が破れるほどの爆音です。
360度、全方向に雷全開!
嵐が去った後に現れる超レアな雷光・スパイダー雷
嵐が通り過ぎ、雨はほとんど止みました。
すると、激しい嵐のあとにだけ現れるという超レアな雷が南側の空に走りました!!
水平に伸びるスパイダー雷/Spider Lightning です。
こんなに大きく、遠くでもないのに、音が聞こえません。不思議です。
私には、スパイダーというよりも龍神様に見えるな。
奇跡のナイトレインボー
この冒険撮影旅行は日本を代表する自然写真家の高砂淳二さんとご一緒しました。
高砂さんは世界で始めて月光が生み出すナイトレインボーを写真集にまとめられたスゴい方!
この日は到着の翌日でしたが、ほぼ満月だったため期待することがあり、皆早朝まで起きていました。
すると暗闇から高砂さんの「出てる!出てる!」という声。
そう、ナイトレインボーが現れたのです!
高砂さんに引き寄せられたのでしょうか、夜空に色づいたアーチが見えました。
虹はぼんやりでしたが、死ぬまでに一度見てみたかった光景。感動です!
ハワイでは「最高の祝福」と言われているナイトレインボー。
まさかベネズエラで観ることが出来るとは!
高砂淳二さんのナイトレインボーなどの写真集のレビューと、撮りためてきた珍しい虹の写真をまとめた記事はこちらです。
合わせて是非ご覧くださいね。
究極の癒し絶景おすすめ写真集7選!自然写真家・高砂淳二氏が幻想的風景で別世界へ誘う |
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カタトゥンボに行きたい!おすすめの旅行会社はここ。
ベネズエラ・カタトゥンボの撮影旅行も、日本を代表する自然写真家の高砂淳二さんとご一緒させて頂きました。
南米を旅するときは、実績と信頼があり頼れる「オンリーワントラベル」さんにいつもお願いしています。
ペンギンの楽園・フォークランド諸島の旅の時も頑張って頂きました!
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臨機応変な対応と細やかな心遣いにはいつも感激しています。
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もしカタトゥンボや南米地域の旅をお考えでしたら、自信を持っておすすめします!
オンリーワントラベル(代表 山田陽介氏)
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まとめ
雷が世界一多い、ベネズエラ・マラカイボ湖の湖畔の集落カタトゥンボの光のショー、如何でしたか?
この旅は、私の「ギネス世界記録になるほどの雷多発地帯なら、私でも凄い雷写真が撮れるかも」とつぶやいた一言が、もの好きな写真仲間たちの変なスイッチを入れてしまったようで、決行された大冒険^^
近くに閃光が見えるのに音がしない雷。
静かに横に這うように伸びるスパイダー雷。
一晩中続く光のエンターテインメントは最高!
カタトゥンボは私にも迫力の雷写真を撮らせてくれました。
雷の語源は「神鳴り」。
古代より雷は水を司る龍神様がもたらす現象で、邪気を祓い、浄化してくれると言われています。
皆さんも雷が始まったら、ちょっと怖いけど安全な場所から崇めれば、邪気祓いになるかもしれませんよ!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。