こんにちは。
写真と旅をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
今回は、天空の鏡と呼ばれ、死ぬまでに行きたい世界の絶景には必ず選ばれている「ウユニ塩湖」での天の川·星空、夜の鏡張り写真の撮り方・設定・コツをご紹介します。
空に大きく広がる天の川と満天の星空、それが足元の水面に映り込み、まるで自分が宇宙の真ん中に浮かんでいるような究極の浮遊感覚。
ウユニ塩湖ではそんな感動的な体験することができます。
天の川・星空の夜の鏡張りの絶景、絶対写真に収めたいですよね!
星空写真の撮影にはコツが必要ですが、カメラに慣れていない人でも失敗しない写真の撮り方や設定方法を全公開します。
Contents
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ウユニ塩湖では、どんな天の川と星空の鏡張り写真が撮れるの?
この写真、どこかでご覧になったことはありませんか?
数年前に私が撮った写真ですが、Adobe Stock、iStock、Shutterstockなどのストックフォトでも販売していることもあり、大手旅行会社のウユニ関連ウェブサイト、絶景紹介サイトなど、世界中で使用頂いている写真です。
またこの写真は、いろは出版『あなたの夜を安らげる100の言葉』にもご使用頂いています。(P136-137, P152-153)。
設定方法を把握して、気象条件さえ揃えば、上のような写真を誰でも撮ることができます!
星空と水面反射の鏡張り写真は実に幻想的です。
そこに人物など対象物を入れると、リアリティが生まれ、写真を見た人と一体感が生まれやすい臨場感ある写真に変身します。
写真の人物、実は私自身です!スーパーセルフィー^^
この撮り方も、3章でご紹介していきますね。
ベストシーズン、気象条件
相手が自然なので、ウユニに行けば必ず撮れると言いきることはできませんが、せっかくですから、鏡張りが現れるチャンスの多い時期を選びましょう。
*雨季であること
天の川や星が反射するためには水面が必要なので、必ず雨季を選んでください。
ウユニの雨季は11月から4月。
雨季始めの11月だと十分に水が貼っていない可能性もあるので、おすすめは1月から3月と言われています。
ちなみに前章でご覧頂いた写真は3月11日に撮影しました。
地元の方が、その年の1月初旬はまだ水面が十分に出来ていなかったとおっしゃっていたので、1月下旬から3月を目安にすれば、好条件の確率がより高いです。
*新月であること
月の光はかなり明るいものなので、星明かりを邪魔してしまいます。
新月とその前後数日の夜空はしっかりと暗いので、星がより強く輝いて見えます。
前章でご紹介した写真は、新月の2日後、月齢2.0の時に撮影しました。
可能なら新月に合わせて旅の計画をしてみてください。
より迫力ある星景写真が撮れますよ!
満月カレンダー:新月も調べられます。
*夜空から雲が消えてくれること
水が張っている必要があるので雨季に行くわけですが、それゆえに、どうしても空に雲が残っていることも多いです。
雲が有ると天の川も星も隠れてしまいます。
夜だけ雲が消えてくれるよう、これはもう神様にお願いです。
*無風であること
天の川や星がせっかく水面に映っても、風があると水面が乱れ、天の川や星の形が崩れてしまいます。
風が無いことが理想なので、ここも神様にお願いです。
風は吹いていても突然止むこともあるので、諦めず、ウユニの夜空を満喫しながらチャンスをじっと待ちましょう。
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ウユニ塩湖、天の川·星空の鏡張り写真の撮り方とコツ
憧れのウユニ。
日本からは非常に遠いので簡単には行く事ができませんが、もし計画をされているなら、是非素晴らしい写真で思い出を増やして頂きたいです。
星空撮影が初めての方でも上手く撮れるよう、順を追って具体的に説明していきますので、是非挑戦してください。
星空撮影に必要な機材
機材をお持ちの方は、この章は飛ばしてくださいね。
絶ず必要な3点
- カメラ(マニュアルモードがある機種)
- レンズ
- 三脚
どんなカメラが良いの?
センサーがフルサイズの一眼レフ、ミラーレス一眼が理想です。
下の図をご覧ください。各センサーの大きさの違いです。
写真に置いてみると、このような差が有る事がわかります。
<フルサイズ>
センサーがフルサイズの機材を使用すると、大空を広く広く撮影することができます。
また、大きいサイズのセンサーはより多くの光を集められるので、クオリティーの高い写真を撮ることが出来ます。
が、価格も比例して高くなります。
<APS-Cサイズ>
エントリーモデルの一眼レフ機やミラーレス機の多くが採用しているサイズが「APS-C」です。
フルサイズに比べると小さくなりますが、購入しやすい価格帯です。
これからカメラを購入される方はこちらの記事も参考に検討してみてください。
<コンデジ>(コンパクトデジタル。レンズ交換は不可)
実際に試したことは無いので申し訳ないのですが、次の章で紹介する露出設定ができる機種でしたら撮影は可能なはずです。
ただし、センサーが小さいので撮影範囲が限られていたり、星空のように”ISO感度”を上げた撮影ではノイズがかなり多く出てしまう事は避けられません。
ですが、価格は大変手頃です。
どんなレンズが良いの?
<明るいレンズ>
暗い場所での撮影になりますので、質の良い仕上がりを求めるなら、F2.8かそれ以上(小さい数値)の明るいレンズが理想です。
<画角の広いレンズ>
満点の星空と鏡張りの水面を一緒に広い範囲を撮りたいので、広角~超広角レンズが適しています。
個性の有る写真を撮りたい方は、魚眼レンズの選択肢もあります。
実際にウユニ塩湖の星景撮影で使用した機材です。
ボディ:Canon EOS 6D (フルサイズ)
レンズ:Canon EF16-35mm f/2.8L USM
出来れば揃えたいもの
- 予備バッテリー
- ペンライト
- クリー二ング用品
<予備バッテリー>
星景写真の場合、ファインダーではなくライブビューでピントを合わせたり、長時間の露光をするのでどうしてもバッテリーの消耗が早くなります。
また、気温が低くてもバッテリーの消耗は早くなります。
ウユニは標高が高いので寒暖差が激しく、夜はダウンが必要なほど寒くなりました。
予備バッテリーを準備することを強くおすすめします。
<ペンライト>
暗がりでの作業になるので、小さなライトは非常に便利です。
使用するときは、周りの人の撮影の邪魔にならないよう十分に配慮してください。
<クリー二ング用品>
撮影後に便利なのがカメラ·レンズクリーニング用品です。
ウユニ塩湖では、精密機械であるカメラを塩水の上で使用するので、撮影後はレンズだけでなくカメラ本体も拭いてあげたいです。
- ブロアー
- 湿式クリーニングティッシュ
- クロス
- レンズペン
この4点があれば、荷物を小さくしたい旅先でも大丈夫です。
クリーニング用品についてはこちらで詳しく説明しています。
カメラボディー:塩水に触れた手で、無意識にカメラに触っている場合もあるので、クロスで拭き上げてください。使い捨ての湿式のクリーニングティッシュも便利です。
レンズ:どこでも持ち歩けるレンズペンというクリーニング用品がおすすめです。ブロアーや付属のブラシでゴミを綺麗にしたあと、チップ面でくるくる拭きあげるだけ。とても簡単で驚くほど綺麗になるので、非常に便利!
*三脚は塩水に浸かった状態で使用するので、ホテルに戻ったらすぐに水で流してください。
では次の章で、撮影方法を順を追ってご紹介していきます。
撮影ステップ1 満天の星空と天の川を愛でる、感動する
まず、満天の星空と天の川を愛でる、感動する。
え?って思いますよね^^
ですが、「頭でなく、心で撮る」ことは、見た人の心に伝わる写真を撮るために一番大切なこと。
これは多くの写真家の方がおっしゃっている事ですが、感動した心で撮れば、それが写真にちゃんと宿るのです。
見えないけれど、不思議だけど、そうやって撮った写真は、なぜか人の心を惹きつける力を持っています。
私もこの教えを頂いてから、写真が大きく変わりました。
撮影に挑む前に、ウユニ塩湖、標高3660メートルから見る「宇宙」の迫力と美しさを、まず存分に味わいましょう。
空には天の川と無数の星、そして足元にも天の川と無数の星。
宇宙の真ん中に浮かんでみてください!
撮影ステップ2 カメラを三脚に固定する
暗がりでカメラを三脚に固定するのに慣れていない方は、出発前にホテルなどの明るい場所でセットしておきましょう。
三脚の「高さ」は、撮影するときに調節します。
撮影場所が決まったら、立ったりしゃがんだりして目の高さを変え、一番反射が映える位置を見つけ、その高さで三脚を固定します。
撮影ステップ3 カメラの設定をする
マニュアルモード(M)で撮影します。
まず以下の設定をしておきます。
手ブレ補正/スタビライザー | 「オフ」に設定。
三脚を使用した撮影の場合、誤操作を起こす場合がるのでオフにしておきます。 |
---|---|
ノイズリダクション | 「オフ」に設定。
いろいろな考え方がありますが、私は「オフ」にしています。 *処理に露出時間と同じ時間を要してしまう。 |
高感度ノイズリダクション | 「弱」に設定。
ISOを上げて撮影する場合に発生する高感度ノイズを低減する機能です。 ノイズを減らしたいからと「強」に設定すると、星までノイズとみなされ消されてしまう場合があります。 「弱」もしくは「標準」にセットしてください。 |
セルフタイマー | 「2秒後に撮影」に設定。
シャッターを押した時の手ブレを防止するためです。 |
<記録画質>
記録画質には3種類の選択肢があります。
- JPGのみ
- RAWのみ
- JPGとRAW
一般的にはデータの軽い「JPG」で撮影しますが、撮影後にレタッチをするのであれば全ての色情報が残されている「RAW」がおすすめです。
RAWで撮影した写真のデータ量は非常に大きいので、メモリーカードも十分な容量が必要です。
ちなみにLサイズのRAWは1枚40MBにもなります。
<ホワイトバランス>
ホワイトバランスを変えて、好みの色味に調節しましょう。
個人的には、星空なら青みが強めの「白熱電球」が好きです。
「K」という選択肢がありますが、これは色温度を意味するケルビン(Kelvin)のKです。
「K」の数値を変えれば、自由に色温度を決められます。
数値が小さいほど青みが強くなり、大きいと赤みが出てきます。
撮影しながら、途中で変更することも可能ですので、いろいろ試してみると楽しいですよ。
K2700 | 青が強く幻想的 |
---|---|
K3200「白熱電球」 | 程よい青み。まずはこの設定で撮ってみてください。 |
K4000「白色蛍光灯」 | 温かみが出てくる |
K5200「太陽光」 | 赤みが出て紫調の発色になる。 |
JPGとRAWでは、色味に違いがあるので、ビューファインダーで確認してください。
マニュアルモードでの設定
ウユニ塩湖で星空を撮るための、目安となる設定は以下の通りです。
レンズが F2 の場合 | ISO 3200 | シャッター速度15秒 |
レンズが F2.8 の場合 | ISO 3200 | シャッター速度30秒 |
*キットレンズに多い F4 の場合 | ISO 6400 | シャッター速度30秒 |
*キットレンズ:メーカーがカメラ本体とセットで販売しているレンズ
*コンデジの場合
F4/ ISO6400/30秒という設定が可能なら撮影できます。
これで星を捉えられないようなら、ISOのみ段階を変えながら12800まで上げてみてください。
ただしノイズは非常に多く現れます。コンデジの場合ISO800位からノイズが現れる始める機種が多いのです。
機種によってはISO3200まで、シャッタースピードも15秒までという制限があるものも多くありますが、この場合、星空の撮影はかなり困難です。
星を撮る場合の「F値」
使用するレンズの明るさにより数値が違いますが、F値は一番明るい「最小値」にします。
この最小値を基準に、ISO(感度)、シャッタースピードを決めていきます。
星を撮る場合の「シャッタースピード」
星空を撮る時は、15秒から長くても30秒。
なぜなら、それ以上長くすると地球が動いているので、星が中途半端な線になってしまうからです。
一眼レフなどでは、マニュアルモードで通常30秒までシャッタースピードが設定できますので、バルブモードで撮影する必要はありません。
ウユニで星を撮る場合の「ISO」
ISO感度はノイズを増やさないため極力小さくしたいのですが、新月頃のウユニは、非常に暗く、ほぼ星明かりだけの状態です。
まず、ISO3200で試して、必要があれば調整します。
Mモードの場合は露出補正が効かないので、ISOやシャッタースピードで調整していきます。
*暗い場合
ISOだけを上限6400までとして、何段階か調節して撮影してください。
*明るい場合
シャッタースピードのみを短くして、ちょうど良い明るさを探してください。
ウユニでは頻繁に現れる流れ星も捉えることができます。
シャッター速度を長めの30秒設定ならチャンスが増えますね!
撮影ステップ4 ピントを合わせる
残念ながら、オートフォーカスではピントを合わせることは出来ないので、手作業で設定します。
慣れるまで難しい点もあるので、練習しておきましょう!
ピント合わせの2つの方法を紹介します。
ライブビューで合わせる
こちらがおすすめの方法です。
手動で星にピントをピシッと合わせると、写真全体に透明感が出てきます。
- マニュアルモードにセットする。
- ライブビュー表示に変え、ピントを合わせるための対象物になる明るい星や街の光を見つけ、モニターの中央に移動させる。
- 拡大表示ボタンを押し、星を拡大させる。次にフォーカスリングを動かしピントを合わせます。
ピントが合っていない場合は、大きくぼんやりしています。
リングを回しながら、一番小さく、シャープになったら、ピントが合っている状態です。
一回ピントを合わせれば、構図を変えてもそのまま使えます。
ずれないように、フォーカスリングとズームレンズをマスキングテープで固定するのも有効です。
明るい色のテープを片側を折って使うと、暗がりで剥がしたい時に便利でした。
レンズの無限遠で合わせる
2つ目の方法です。
手動でピント調節が出来ない機種や、ピント合わせる為の対象物が見つからない場合に有効な方法です。
レンズのフォーカスレンズをまわしきり「∞」無限遠に合わせ、ほんの少し戻してください。
「∞」ちょうどの位置に合わせると実際にはピント位置が行き過ぎてしまうので、この写真の矢印で示したあたりまで戻します。
メーカーによりフォーカスレンズの回す方向が違いますので、覚えておきましょう。
無限遠はあくまでも目安です。
星を綺麗に撮るために>試し撮り>ビューファインダーで拡大、確認>必要なら微調整をしてください。
ピントが甘いようなら再度調整します。
位置が決まったら、テープで固定するのが安心です。
ウユニの場合は、星がはっきりしているので大きい星を使って合わせられますし、地平線上に遠くの村の光があったりするので、ピント合わせの対象物に困ることはないはずです。
できればライブビューを使った方法を使ってみてください。
撮影ステップ5 水平を取る
地平線を含む風景写真なので、水平を取ることを意識してください。
合っていないと不安定感が出てしまいます。
水平は、カメラの水準器を表示させれば簡単にチェックできます。
これはキヤノンの場合ですが、赤い線が緑色になれば水平が取れた状態です。
撮影ステップ6 試し撮り、本撮影
設定が完了しました!試し撮りをしましょう。
シャッターボタンを押すと、手ブレ防止用にセットしたセルフタイマーが働き、2秒後にシャッターが切れます。
撮ったら、構図を確認します。良さそうなら本撮影です!
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撮影応用編
自撮り·セルフィー写真
はじめにご紹介した人物のシルエットが入っている写真は、自撮り写真です。
この場合、セルフタイマーを2秒から通常の10秒に変更します。
シャッターボタンを押したら、水面を乱さぬよう細心の注意をはらいながら、そっとカメラの前に立ちます。
シャッターが開いている間はジッと動かないように!
ウユニならではの花火と星のコラボ写真
ツアーに参加すると、花火を使って遊ぶ時間を設けてくれたりするので、花火写真も撮ってみましょう。
花火だけではどこでも撮れる普通の写真になってしまいます。
せっかくですから、満天の星も入れて、幻想的なウユニを表現してみましょう。
この時の設定は、F2.8 ISO1600 SS30秒。
コツですが、花火は終わりの5秒位だけ入れ、終わってもそのままシャッターを開いておきます。
花火が終わった後の25秒間で星を捉えると、花火と星のコラボをと撮ることができます!
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まとめ
今回は憧れのウユニ塩湖での、天の川・星空の夜の鏡張り写真の撮り方、設定とコツを全公開しました。
撮影ステップに沿えば誰でも綺麗に撮ることが出来るので、是非試してくださいね!
- 撮影ステップ1: 満天の星空と天の川を愛でる、感動する
- 撮影ステップ2: カメラを三脚に固定する
- 撮影ステップ3: カメラの設定をする
- 撮影ステップ4: ピントを合わせる
- 撮影ステップ5: 水平を取る
- 撮影ステップ6: 試し撮り・本撮影
星のピントの合わせ方は、事前に練習しておきましょう!
暗闇の中、空と足元に現れた天の川と満天の星に包まれ、宇宙の真ん中に浮かぶ究極の感覚をどうぞ満喫してきてください。
夜の鏡張り写真、成功を祈ります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。