こんにちは。
旅と写真をこよなく愛するフォトラベラーYoriです。
今回は、これをカメラレンズに付けるだけで風景写真が感動的なほど鮮やかな景色に変えてくれる「PLフィルター(CPLフィルター)」の使い方を、作例とともにご紹介します。
このフィルターの使い方を覚えれば、ぼんやりしていた写真にコントラストや透明感が出るので、撮影がもっともっと楽しくなってくること間違いなし!
初心者でも簡単に使えますが、その効果は絶大です!
一眼レフやミラーレスをお使いで、特に風景写真を印象的に撮りたい方には、PLフィルター(偏光フィルター)は必須と言えるほどのおすすめアイテムです。
紅葉や桜、緑の山、白い雲、青い空、水面反射、七色の虹などなど、より印象的に撮影できるので、表現が広がります。
比較できる作例をご用意したので、その違いをご覧頂きながら、PLフィルター使いこなしテクニックをご紹介します。
よく写真仲間の間で「PLフィルター、つけっぱなし派?はずす派?」なんて話しが出ますが、「レンズプロテクターにもなるけど、実際PLフィルターをつけっぱなしにするのはどうなの?」の疑問にもお答えします。
また、コスパの良いフィルターを厳選してご紹介します。
特にお気に入りのKANIフィルターは品質・コスパ最強ですので、合わせてご参考になさってください。
Contents
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風景写真が感動的に撮れる必須アイテム「PLフィルター」とはどんな物なの?
一眼レフ・ミラーレス初心者が、最初に揃えたいのが、撮影がどんどん楽しくなる「PLフィルター」です。
PLとは、英語にすると”Polarizing”、すなわち「偏光させる」という意味。
PLフィルターを使うと、不要な反射光を軽減させる事ができる為、被写体の彩度が高まり、本来の色彩が優先されます。
主に次の効果を得ることができます。
1. 大気のかすみを軽減し、画像の彩度を上げることが出来る。
大気中には水蒸気や粉塵などの微粒子が浮遊していますが、これらに光が乱反射し、かすみを引き起こします。
晴れた日でも遠くが霞んでいることがありますが、PLフィルターを使用すれば、このかすみを抑える事ができるので、結果、写真に色味と透明感が現れます。
下の作例はわかりやすいよう、なるべくかすみがかかる遠くの景色を望遠で撮ったものです。
PLフィルターを使用、未使用、いずれも全く同じ設定で撮影していますが、結果は思った以上にはっきり出ました。
2. 光の反射をコントロールすることが出来る。
大気中の微粒子と同じ様に、PLフィルターを使えば水やガラスや葉など非金属表面の反射している光をコントロールするができます。
水面の場合、反射を減らせば水面の下が現れ、また、彩度が高まるので鮮やかな写真になります。
反射を活かせば、水面に写り込んだ絵が鏡の様に現れます。
次の写真はPLフィルターで反射を減らした写真です。
水の中の様子がはっきりわかり、色も飛ばずに見たままの様子で写っています。
こちらは、PLフィルターで反射を活かした写真です。
反射がくっきり現れ、鏡に映っているような面白い写真が撮れました。
PL? それともCPL?
一般的にPLフィルターと呼ばれる事が多いのですが、現在市販されている物のほとんどが「円偏光フィルター」すなわちCPLです。(CはCircular「円の」という意味)
PLもCPLも、偏光という点で効果は同じですが、デジタルカメラ側のミラーと干渉を起こさないよう改良されたのがCPLです。
デジタル一眼レフやミラーレスをお使いのかたは、CPLを使ってください。
ちなみに本来のPLフィルターはオートフォーカスを使うと誤作動を起こし正しく測光できません。
マニュアルフォーカス専用になります。
PLフィルターって本当に必要?あとでレタッチすればいいんじゃないの?
撮影後にライトルームやフォトショップなどのソフトを使ってレタッチする方も増えました。
色の彩度や明度の強弱をつけることや、ある程度のかすみ除去等もできますが、PLフィルターで得られる効果の全てを、レタッチで再現させることはできません。
レタッチをやり過ぎると、違和感やカラーノイズが出て透明感も損なわれます。
特に、反射して白く飛んでしまっている部分は色情報がないので、レタッチで色を出すのは困難です。
風景写真をより印象的に美しく撮りたいのなら、反射やかすみを除去し彩度を上げてくれるPLフィルターは必須アイテムだと考えています。
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初心者でも簡単、PLフィルターの使い方と親指ルール
一般的な直接レンズに装着するタイプのPLフィルターは上下2枚構造になっています。
使う手順
- レンズにフィルターを装着します。
もしレンズプロテクターを使用している場合は、レンズフレアやゴーストをなるべく避ける為、透明感を損なわせない為にも外すのが望ましいです。 - 上側のフィルターを回転させて、好みの作風になる偏光位置を探します。
- ピントを合わせ撮影
偏光量の強弱
PLフィルターの効果は、図のように回転位置によって強さが違います。
90度ごとに強弱が交互に現れるという事を認識しておけば十分です。
ファインダーを覗きながらPLフィルターを回転させ、好みの位置を探してみてください。
親指ルール
慣れてくれば感覚でわかるようになりますが、この図は偏光効果がある領域を知る目安です。
- 人差し指と親指を直角に開き、人差し指を太陽にまっすぐ向けます。
- 人差し指を太陽に向けたまま、手首を回転させます。
- その時親指が指している方向(赤い矢印)が、PLフィルターが最も有効になる領域です。その方向にレンズを向けて撮影すれば、良い効果が得られます。
光が入ってくる角度で効果の強弱は変化しますので、撮影中にレンズの向きを変えたら、その都度PLフィルターも調整してください。
回転させても変化が無い場合は、偏光が有効な角度では無いという事なので、写真の透明感を損なわせない為にも、フィルターは外してしまいましょう。
PLフィルターはつけっぱなしでいいの?
私は以前、レンズプロテクター代わりにもなることだしと、いつでもPLフィルターを装着していました。
写真仲間の間でも「PLフィルター、つけっぱなし派?はずす派?」なんて話題になったりします。
そこで日本を代表する自然写真家の高砂淳二さんにご意見を伺ったところ
「つけっぱなしは好ましくない」というお答えでした。
理由は
- レンズは何も装着していない状態でベストの結果を出せるよう設計されている。
- PLを装着すれは、1段〜2段(シャッター速度は2〜4倍遅くなる)暗くなるし、透明感も損なわれる。
- レンズフレアやゴーストが出やすくなる。
- 装着しているからといって、いつでも効果を得られるわけではないのだから、必要な時だけに使用するのが好ましい。
ということでしたので、その場でPL外しました〜^^
私の場合、PLフィルター装着していることを忘れて調整せずに撮り続けてしまい、暗めで、効果も出せていない写真を量産し、自分にがっかりした事もあったので、現在は必要な時だけに使用する様にしています。
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風景写真に効果絶大!PLフィルターを使用した作例と使い方テクニック
PLフィルターの効果を撮影シーンごとに紹介していきます。
水面反射を除去する・生かす
PLフィルターは「反射を抑えるフィルター」と説明されているのを目にする事があります。
もちろんその通りなのですが、実際に使うとわかるのが、PLフィルターは反射を「コントロールする」フィルターだという事。
反射を抑えるだけでなく、それを生かすこともできるので、写真表現を自分の好みで作ることができるのです。
とても楽しい!
反射除去・滝
次の写真は、PLを使用せず撮ったものと、反射を除去して本来の色を浮かびあがらせた場合の比較。カメラの設定は同じです。
独特な色をした岩盤でしたが、PLフィルターを使うことでその色が引き出せました。
反射除去・川の流れ
PLフィルターを使用することで川底が見え、水の透明さが感じられるようになりました。
反射をコントロール
反射は除去するのがいつでも正解というわけではありません。
手前のオレンジの岩盤をご覧ください。
反射除去をしすぎると水の流れが消えて、川のせせらぎ感がなくなってしまいます。
除去しないと、反射が強すぎるので、この場合中間ぐらいに調節するのがよさそうです。
反射を活かす・池の波紋
こちらは、紋になった水面に映る花の紫と空の青が面白いので、CPLフィルターでコントラストを出しました。
除去してしまうと、水紋はぼんやりし、水底が中途半端に現れて、鴨の存在感が弱くなってしまいます。
青い空と白い雲
青い光の波長は赤や緑よりも短いため散乱しやすいのですが、PLフィルターを使うと散乱された光が抑えられ、本来の青い空の色を捉える事ができる様になります。
また白い雲にも効果が現れ、質感を引き出し、空の青さのコントラストも相まって、より印象的な写真になります。
青空撮影時の注意点
不自然に暗くなる
PLフィルターの効果を最大にした場合、青い部分が不自然に暗くなる場合があります。
この時は、フィルターを回転させ、効果を最大から弱めになる様動かして、違和感のない色に調整してください。
ムラが出る
上の写真を見るとわかりますが、広角レンズを使った場合、空の部分にPLフィルターの効果が平均的に現れない場合があります。
広角レンズは広範囲の空を捉えるため、入ってくる光の角度に差が生じ、色にムラが出てしまうのです。
回避するには
- ファインダーで確認しながらPL効果が弱めになるよう回転させ、最適な位置を探す。
- レンズの焦点距離を長く調整する。
- 作風は変わりますが、24mm以上のレンズに交換することも有効。
桜などの淡い色の花をくっきり浮かび上がらせる
桜などの淡い色や白い花を撮影する時も、PLフィルターは有効です。
花びらの反射をおさえてくれるので質感が現れ、青空が鮮やかになるのでコントラストも生まれ、メリハリも出て来ます。
葉の緑色も目で見た感じに現れました。
オーストラリアでは春になると南半球の桜とも呼ばれる紫のジャカランダが咲き誇るのですが、これはオーストラリアでもめずらしい白いジャカランダの花です。
オーストラリア・シドニー|紫の花ジャカランダの名所を巡るフォトウォーク3選と写真の撮り方! |
嬉しくなっちゃう、虹のPLフィルター撮影
虹を撮る場合も、PLフィルターは大活躍してくれます!
前述してきたように、フィルターが空の青みを引き出してくれるので虹が引き立ち、彩度が高まるので虹の色も鮮やかになります。
2枚目はPLフィルターの効果が出て、虹も輝きだしています。
3枚目は、PLフィルターの角度が正しくないため、なんと、虹はすっかり消えてしまいました!
このような事が無いよう、ファインダーを覗いてしっかり確認してください!
絞りは、広範囲にピントが合うF10~11あたりを使うとメリハリのある虹の風景写真が撮れます。
虹はいつ現れるかわからないので、PLフィルターをいつでもカメラバックに入れておくといいですね!
こちらは、幸運を呼ぶ珍しい虹をあつめた人気の記事です。
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おすすめのPLフィルターと選び方
初めてのPLフィルター、どんな物を選べば良いのでしょう。
性能により価格も違ってきますので、予算に合わせて妥協できる点なども把握してみてください。
あまり安価な製品ですと、偏光の効果が弱かったり、色被り、色の偏り、レンズフレアー・ゴーストが顕著に現れて、透明感も失われてします。
1️⃣ デジタル一眼レフ、ミラーレスならCPLを選ぶ。
現在市販されているほとんどのPL製品はCPLなのでどれでも基本問題無いと思いますが、念の為CPLと明記されている物か確認してください。
「Circular PL」と表示されている物もCPLです。
2️⃣ 使用するレンズの径と同じ径の物を選ぶ。
Φ68mm、Φ77mmなど、レンズにより径が違うので、その数字と同じサイズのフィルターを選んでください。
もし、径の違うレンズを複数お持ちなら、「ステップアップリング」というものがあります。
レンズに装着する変換リングの事で、これがあればサイズ違いのフィルターをレンズ径に合わせる事ができます。
1000円以下で購入できるので、フィルターを追加するよりグッと低予算ですみます。フィルターと同じメーカーの物を選ぶのが安心です。
3️⃣ 厚みの薄いフィルターを選ぶ。
厚みのあるものだと、広角レンズを使用した時に四隅にフィルターの枠の影が写り込んでしまう「ケラレ」が起こる事があります。
広角レンズに装着する場合は、出来るだけ薄いフィルターを選んでください。
今後広角レンズの使用を考えていらっしゃる方は視野に入れておくとよいでしょう。
4️⃣ 高透過や低反射タイプを選ぶ。
CPLを使用した撮影は楽しいのですが、レンズにもともと付いていない物を装着することになるので、使用していない場合と比べると、1~2段暗くなり、レンズに取り込める光の量は1/2~1/4になります。
適正露出を得るには、シャッター速度を2~4倍遅くする必要が出てきます。
ですので、出来るだけ暗くならないフィルターが良いのです。
通常のCPLですと2段ほど暗くなりますが、高透過の場合は1段ほどです。
ファインダーを覗いても、明るさはほとんど同じです。
先ほどもお伝えしたように、レンズは何も付けていないのがベストの状態。
もしレンズ保護フィルターを使用しているのなら、それを外してからCPLを装着するのがおすすめです。
目安は「反射率1%以下」の製品です。
5️⃣ 撥水・撥油・防汚コーティング
屋外で使用する事が多いフィルターなので、撮影中でも簡単に汚れが落とせる撥水・撥油・防汚などのコーティングがされた製品が使いやすいです。
とくにPLフィルターでで撮りたい川や滝や海などでは、飛沫が空中を舞っていますし、フィルターを指で触って回転調整するので、つい触れてしまい指紋もつきやすいのです。
このレンズクリーナー「レンズペン」は手軽だけどしっかりクリーニングできる優秀な製品なので合わせてご紹介します。
1本持っておくといざという時にも非常に便利なので、私はいつもカメラバックに入れています。
厳選・おすすめPLフィルター
上記の目安が全てカバーされていて、尚且つ、77mm径の大きなレンズでも1万円以下で購入できるコスパの良い商品を厳選していくつかご紹介します。
(径が小さくなればそれだけ安くなります)
HAKUBA PLフィルター XC-PRO
私も予備で使用しているフィルターで、アマゾンベストセラー商品です。
- 径37~88mmの13種類のサイズ
- 広角レンズ対応、ケラレの少ない薄枠設計
- 反射率:0.6%
- 極めて高い撥水/防汚機能
Kenko PRO1D サーキュラーPL NEO
ロングセラーの「PRO1D ワイドバンド サーキュラーPL」に撥水・撥油コーティングをプラスしたモデルです。
- 径37~88mmの13種類のサイズ
- 広角レンズ対応、ケラレの少ない薄枠設計
- 反射率:1%以下
- 撥水・撥油・防汚コーティング
KANI プレミアムCPLウルトラスリム
KANIはまだ若い会社ですが、大量生産せず高品質にとことんこだわって作られた製品ばかりで、多くのプロから支持されているフィルターメーカー。
コスパも最強です。
しかもこの品質で、今回ご紹介したフィルターの中で一番お手頃価格です。(アマゾン内での比較)
また、この価格帯で埃が付きにくい「帯電防止コーティング」が採用されているのが嬉しい点です。
- 径52~105mmの10種類のサイズ
- 広角レンズ対応の超薄型設計。厚みは業界初の6mm!
- 反射率:0.3%以下(ピントが合わせやすく、シャドー部がツブれにくくい。)
- 帯電防止、撥水、防汚コーティング、高透過偏光膜採用
KANI 角型フィルター用 CPL&ホルダーセット
こちらは、私がとても気に入って使用しているKANIのCPLです。
上記で紹介した商品と違う点は、「1枚構造」だということ。
厚みはたったの1.5mm!
レンズのベストの状態を極力邪魔しない設計です。
角形フィルターとCPLが同時に使える専用ホルダーに装着して使用します。
もし今後、角形フィルターに挑戦されたい方は、このホルダーセットも視野に入れておく事をお勧めします。
回転させる時は、ホルダーに付いている調節を指で回すだけ。
このホルダーを使えば、角形フィルター3枚までとCPLを併用できる事が最大の利点です。
KANIの製品は重ね付けしても透明感が損なわれない点が、多くのプロから支持されている理由の1つなのです。
このスリットに角形フィルターを挟んで押し下げます。(本来は3枚まで使えますが、写真は2枚重ね仕様に変えています。)
実は、KANI製品で一番初めに使ったのは、CPLではなくNDフィルター(色相を変えずレンズに入る光を減らすフィルター)でした。
NDフィルターを使えば、長時間露光でフェリーの光跡を撮ったり、湖面のさざ波を抑え鏡のようにしたり、朝日夕日の周りだけ色が飛んで手前が暗〜いなんて事も避けられるし、表現がぐんと広がって楽しいのです!
*67mm、 72mm、77mmのレンズなら、付属のステップアップリングで調節可能。
まとめ
PLフィルター(CPLフィルター)とはどのようなフィルターなのかを、作例と共にご紹介しました。
使い方は簡単で、初心者でも抵抗なく扱える上、風景写真が感動的に変身してしまいます。
作例の比較写真で、その効果の絶大さを実感して頂けたと思います。
コントラストの効いた美しい風景写真を撮りたい方には必須アイテムです!
PLフィルターを選ぶ時ポイント
- レンズ径
- 厚み
- 反射率
- コーティング
記事でご紹介した商品よりももっと高品質で高価なフィルターもありますし、リーズナブルな価格のものもあります。
私のおすすめはKANIフィルターですが、選ぶポイントとご予算に合わせて探してみてください。
PLフィルター、撮影が本当に楽しくなりますよ!
最後までお読みくださり、ありがとうございました。